アオバト
鎌倉市在住で、日頃は「かまくらB・W同好会」メンバーとして鳥を追い掛け回している私の下へ、日本野鳥の会札幌支部の住友さんから機関誌“かっこう”への投稿依頼の電話がありました。
私は3年前に札幌支部に入会させて頂きました。此れといった活動もしていない私が、鳥参上欄に拙文など、と思い辞退も考えましたが、素人集団の我が同好会の日頃の探鳥の様子を知っていただくのも何かのご縁と思い、寄稿させて頂くことに致しました。
「かまくらB・W同好会」は、鎌倉市教養センターの主催するバードウォッチング講座を修了した者で構成されています。この講座は1999年に開設されて、60歳以上の者を対象に一回に20名が受講、講師には鳥見歴30年の田中和作氏が当たられました。週1回3ヶ月の講座を終えた時、誰からとも無くこのまま終わるのは勿体ないとの声が出、結果20名全員で同好会を作り自主運営をしよう、という事になったのです。凡そ13年を経た現在、会員は115名で、探鳥会は定点定時観察を旨とする月1回の定例会と、会員の希望を入れた年間20回ほどのオプション観察会に分けて行い、この6月のオプション観察会は、6月14日に大磯の照ヶ崎海岸にアオバトの観察に行って来ました。
照ヶ崎海岸は、普段丹沢の山中に棲み木の実を餌として暮らしているアオバトが、不足がちな塩分を補給するために海水を飲むのにやってくる場所として知られ、この10年来毎年観察に来ている場所なのです。アオバトは北海道でも決して珍しい鳥ではないと思いますので詳細は省きますが、関東では群れで海水を飲みに来る場所はこの海岸だけではないかと考えられます。大磯駅に7時半集合、皆鎌倉を6時台に出発し幾分眠たげな目を擦りながら海岸に向かいます。海岸には既に地元のアオバトファンが20人ほども集まり、空を見上げたり、30メートルほど沖合いの岩礁に飛来するアオバトにカメラを向けたりしています。我々31名を加え総勢50名ほどが思い思いに陣取り、早速飛来数をカウントしたり、スコープの用意をしたりと大忙しです。羽の付け根がブドウ色の雄、背も羽も緑の雌、これ等が先を争って海水を飲む様は、命の尊さを感じさせます。大きな岩の右手の小さな岩には、ご常連のウミウが「忘れてもらっては困る」と、羽を拡げてアピールしていました。この数年必ず姿を見せ、仲間内では有名なウミウなのです。この日は、アオバトが約1,500羽(一度の最大飛来数約250羽)他にウミウやオオミズナギドリやトビなど、22種が観察出来ました。11時に海岸から次の城山公園へ移動し、森林の鳥の観察に移りました。
近くは鎌倉市内の中央公園、遠方では富士山五合目や戸隠高原、渡良瀬遊水地などまで行っていますが、今後は青森や秋田、北海道まで足を延ばして新たな鳥の観察を楽しみたいと念じております。