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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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大阪湾(堺第7−3区)産廃埋立地における生物多様性の保全

日本野鳥の会大阪支部 清水俊雄

1.堺第7−3区産廃埋立地の概要

大阪府堺市の臨海部にある産業廃棄物処分地(堺第7−3区という)は、1974年〜2006年の約32年間で、約5千万トンの瓦礫・土砂を投入して埋め立てられた。その広さは約280ヘクタール、甲子園球場の約70倍に相当する。堺第7−3区の植生は、多年草群落から低木群落に移行しつつあり、エリア内にある3か所の池にはヨシ群落が広がり、ヒメガマなどの抽水植物も見られる。動物では、鳥類の101種、ほ乳類がイタチなど3種、爬虫類はアオダイショウなど3種、両生類ではヌマガエル、そのほか多種の昆虫類が生息している。

2.多様な鳥類とチュウヒ

鳥類では、主にタカ類12種、カモ類12種、シギ・チドリ類27種、サギ類5種カモメ類6種、その他コミミズクの記録やスズメ目の鳥も多種類生息している。これまでここで記録されていなかったウグイスとホオジロが09年に確認された。植生が遷移している証しである。そのうちの絶滅危惧種は、チュウヒ、セイタカシギ、ツバメチドリ、コアジサシなどで、なかでもチュウヒは絶滅危惧?B類にランクされている。日本野鳥の会大阪支部では、05年より堺第7−3区で、チュウヒを中心とした鳥類の生息調査をスタートさせ、06年に1羽、07年に2羽、09年には、1羽のヒナの巣立ちを確認した。食物連鎖の頂点に位置するチュウヒの生息環境を保全することは、堺第7−3区の生物多様性保全のためにも喫緊の課題である。

3.生物多様性とは

地球上には3千万種とも言われる多種多様な生き物が生息しているといわれ、様々な環境のなかで、互いにつながり支えあって生きている。そのような生物の多様性が、今急速に失われようとしている。開発による自然環境の破壊、地球温暖化の影響や人間の生活習慣の変化、外来生物など原因は様々である。2010年は国連の国際生物多様性年で10月に名古屋市で開催予定の第10回締約国会議(COP10)に向けて、日本の果たす役割が期待されている。

4.事業活動と生物多様性保全との整合性

現在「共生の森」エリア(約100ha)で植樹事業が進められている。これまでに約35種、3万5千本が植えられた。今後、草地環境が減少しチュウヒの繁殖が難しくなることを懸念する。また、未利用地(約20ha)で建設が始まった太陽光発電所の設置が、地球温暖化を防止するための有効な手段であるとしても、温室効果ガスの排出削減だけでは環境問題への対応が不十分だといわれているなか、それが生物多様性保全に配慮されずに進められるならば、いかがなものであろうか。生物多様性は、「種の多様性」のみならず、「遺伝子の多様性」や「生態系の多様性」などと相まって成り立っている。わが国の生物多様性基本法に照らしても、最優先されるべきは、多様な生き物の生息に配慮し、必要な措置を講ずることである。また、この地区を鳥獣保護区特別保護地区に指定することも有効と思われる。

支部報「カッコウ」2010年4月号より