福島潟モニタリングサイト1000ガンカモ類調査を通して
新潟市街の東20?程に位置する福島潟鳥獣保護区は面積163haの潟湖で、オオヒシクイ5千羽の越冬地として知られています。また、コハクチョウも水原の瓢湖と並び6千羽が飛来しています。
平成元年に福島潟野鳥の会会員として水鳥の全国一斉調査に参加して以来、カウンターを手放せない自然との付き合いとなりました。

ガンカモ類の重要渡来地であるために、冬季は20回程の生息数調査を行います。モニタリングサイト1000ガンカモ類の秋冬春3回の調査では福島潟野鳥の会のみでなく、新潟大学学生等広く参加者を募集しており、今季は延べ66名の参加協力が得られました。
多くの人に調査を通して、自然環境のバロメーターである野鳥と福島潟の保全に興味を持って頂き、願わくばその中から調査を継続して引き継いでくれる人材が育ってくれれば幸いと思っています。
福島潟は葦原と承水路が入り組んでおり、水面を一望することが出来ません。そのために5組のカモ班と、白鳥と雁が飛び立ったところをカウントする班に別れて調査を実施しています。氷点下の朝はなかなか飛び立ってくれず、時間と根気の必要な調査方法です。
そのほかハクチョウとガンの広域越冬行動調査として、夜明けからの周辺ねぐら調査と周辺採食地調査を東西南北の4班に分かれて車両で迅速に行っています。
今季は暖冬の長期予報でありながら寒気が居座るという異常な天候で、オオヒシクイの南下が少なく、また不安定で例年同期を毎回下回る数となりました。オオヒシクイの今季最大飛来数は12月中旬の3,966羽で4千羽を超える事はなく、1997年〜98年以来の少なさでした。また、日周行動にも変化が見られ、通常ならば日の出前にマガン、そしてオオヒシクイ、日の出後にコハクチョウの順に潟から飛立って行くのですが、なかなか通常通りに飛立たない状況がシーズンを通して多かったと感じています。
飛び立たないで休息や採食をしている原因として幾つか考えられることがあります。
- 南下飛来して来た直後で、体力を消耗しているため飛ばずに休息や採食をしている。
- 積雪等の影響で、周辺での採食が困難である場合には体力消耗を防ぐために休息をしている。
- ねぐら環境に異変があり、夜間に十分な休息が出来なかった。
秋の渡来期は 1. にあたりますが、なかなか飛んでくれない傾向は12月中旬に雪が降るまで続き、そして降雪期となった12月中旬以降は、積雪による影響と思える潟内休息が多く観察されました。
3. に関しては、キツネが日中にもかかわらず複数回観察されていますが、夜間のねぐら状況は不明のため断定は出来ません。
オオヒシクイの越冬数やコハクチョウ幼鳥数などをカウントしていると、気象状況と密接な関係があることが推察されます。
わずか163ヘクタールの鳥獣保護区で起こっている事を通して、地球規模で進んでいる気候変動や環境変化を鳥たちは教えてくれているような気がしてなりません。
支部報「カッコウ」2010年5月号より
