よく知ろうとすれば、もっと仲良くなれる
小学生の頃から、野幌森林公園を遊び場としていたからなのでしょうか。森の中に身を置き、木や花の香、鳥や虫の声を楽しむことが常で、「自然は友達」と自ら話していました。ところが、実はその友達の姿かたちや、名前すらも、正しく知らずにいたのだということを痛感することになるのでした。
平成七年に「札幌市立駒岡小学校」という、森の中に建つ小さな小学校に異動になった時の事なのですが、そこでは、自然体験活動を通じて子どもたちの力を育む独自のカリキュラムがあり、学習はもちろんのこと、遊び時間までが森の中にどっぷりと浸る、今までに経験の無いものでした。
「先生、あれはハシブトガラスだから、気をつけて。」
「ユウレイタケ(ギンリョウソウ)見つけたから、教えてあげる。」
森の中に入ると、子どもたちが先生です。私にはほとんど教えてあげられることが無く、「へぇ。」「なるほど。」とただただ感心するばかりの毎日でした。
そんな私が唯一、子どもたちの目を輝かせる価値を与えてあげられることが「自然観察スケッチ」の時間でした。私の専門が美術ということもあり、野草や樹木、昆虫や野鳥の形や色をとらえるのは難しいことではなかったからです。但し、野鳥は動きが速く、遠くに止まっていることが多い上に、逆光で真っ黒にしか見えないため、シルエットや大きさは分かっても、羽の模様の形や色までは、なかなかとらえることができませんでした。
それからは毎日、野鳥の声が聞こえれば、その姿を目で追うになり、窓の外で動くものがあれば目を凝らし、姿をとらえたら特徴をメモするようになりました。ポケットサイズの野鳥図鑑を常に近くに置き、比べたり調べたりしているうちに、自然に知識が身につきました。写真で撮ることも挑戦したのですが、全然うまくいかず、お金ばかりがかかるので、水彩画で描くようになりました。これが子どもたちに大好評だったため、嬉しくて一年間で三十枚近くのスケッチを描きました。

あれから十七年経った現在も、昔ほどではありませんが、野鳥の絵を描いています。今では随分知識も増え、声を聞くだけで分かる野鳥も増えましたし、その姿もすぐ目で捉えられるようになりました。気のせいかも知れませんが、野鳥たちが私の視線を感じても、すぐに逃げなくなったようにも感じるのです。子どもと同じように、興味をもって、よりよく知ろうとすれば、自然に距離が近くなるのかなと思ってしまうのですが、皆さんはいかがですか?
筆者ホームページ「森のしずく」で野鳥の絵を紹介しています。
http://www1.ocn.ne.jp/~akagera7
支部報「カッコウ」2012年6月号より
