釜石津波被害杉の伐倒支援ボランティア活動に参加して
三月十一日の東日本大震災から半年が経ちました。
今でも、あの悲惨な光景が昨日のようにテレビ画面から放映され見ることがあります。その度に、人間の力ではどうすることもできない「自然の驚異」と「むなしさ」を感じます。
そんな悶々としていた時に、釜石を中心に震災支援ボランティア活動をしている北海道の団体から「津波被害にあった杉立ち木の伐倒支援」の要請がありました。普段は、森づくりや自然観察、子供たちとの自然体験活動のお世話をしていますが、夏休みのスケジュールが終了した時期ですから、要請を受けることにしました。大急ぎで「樵」の準備し八月十二日苫小牧からフェリーに乗り込みました。
支援の場所は、釜石の根浜(ねばま)海岸地域です。漁師のMさんの山林も津波被害を受け、その内「津波被害で立ち枯れした杉三十本から四十本を伐採して欲しい」との内容でした。
この根浜地域は、三陸海岸特有の松林に囲まれたリアス式海岸で観光地としても有名なところです。震災直後のテレビ中継で登場した「ホテル宝来館」があり、夏はビーチとして沢山の家族連れで賑わいます。また、この海岸は、小さな漁港もあり、沖合いで「わかめ」、「かき」の養殖が行われていました。
八月十三日釜石に到着、早速現地に向いました。崩壊した家々と道、瓦礫の山、破壊放置された自家用車など、どれもこれも今までテレビで観た光景とは比較にならない無残な光景が次から次と迫って来ます。横目に入る穏やかな景色とのギャップの大きさに「これは何なんだろう!」って、段々、理解出来なくなります。
現地に着き、Mさんの案内で早速「津波被害にあった杉林」の調査をしました。基礎だけ残ったMさん家跡で「この集落は全部津波に流された。残ったのは家の土台だけ。まだ、この集落で六人行方不明だよ」と津波被害の実態も語ってくれました。周りは、杉林に囲まれています。何か変だと、すぐに気づきました。それは夏なのに高い杉が枯れて茶色に変色している。そんな杉林が海岸線に沿っていたるところに見られます。
三月十一日、この小さな集落に、杉の天辺までの(15mから20m)津波が押し寄せて、約60世帯の家々など、すべてを破壊しました。津波被害1ヶ月で、杉の枯れが始まりどんどん増えているそうです。秋にはもっと増えると言ってました。
猛暑の中、八月十三日から十六日まで、杉の伐採な どボランティアをしました。伐倒目標をクリアーして、土砂と塩にまみれた津波被害の杉100本を切ることができました。
Mさんは、「前のように、この森が戻るのはいつだろうか」と言ってました。現地では、復旧が行われていますが、進んでいない感じがします。また、今回は津波被害だけではありません。「福島第一原発事故」の放射能汚染も心配と言ってました。放射能は、今でもすべての土地に降り注いでいます。
森だけではなく、将来、この海岸沿いに人が住み以前のような姿に戻るのは、かなり先のような気がします。
三月十一日以降、自分を取り巻く環境が大きく変わり、今までとは違った意識で森や自然と向き会うことを教えてくれたと感じた今回の支援ボランティア活動でした。
支部報「カッコウ」2011年10月号より
