今夜もポロトの森を滑空する小さな獣
北海道アウトドア協会登録自然ガイド 鈴木克司
行ってみたい、歩いてみたい日本の100カ所「遊歩百選」に選ばれた、ポロトの森は、JR白老駅から約800mの所から始まり、周囲約4kmの湖を観ながらの周回散策コースは約7km、簡易舗装で整備されて上がり下りは急な所もなく散策路の途中には、ビジターセンターがあります。
このセンターから奥にある、もみじ平・望岳台への散策路も整備され、同じ道を折り返さなくても戻られるコースで変化に富んだ風景を楽しむ事が出来ます。
森には、キツツキの仲間を始め四季折々の小鳥達と、フクロウ・ダイサギ・オジロワシ等の大型の鳥達も観察できます。エゾシカ・タヌキ・エゾリスの他に最近はアライグマも確認しました。
ミズナラやクリの巨木もあり、散策路から木肌を触れます。初春のミズバショウから晩秋のヤマモミジの紅葉迄それぞれに楽しめ、この森に降った雨や雪を源泉とするウツナイ川にはイワナやヤマメが泳いでカワセミやヤマセミの姿も観られます。
一樹会の仲間たちは雪が降り始まると、ポロトの森に通う回数が一段と多くなります。
雪の上にポロポロと落として行った、エゾモモンガの食痕と糞探しです。これらが見つかると今度はその近くに巣穴が無いか探索です。雪の少ない白老ですが、スノーシューを覆いての探索は重労働です。
それでも物を探す事は楽しい一時で、巣穴らしいのを見つけると、地図に落とし込んで、今度は本物の巣穴なのか確認です。
この作業は、夕方から始まり、穴に近すぎず遠すぎずの所からモモンガが顔を出す迄の張り込みです。夕暮れも終わる頃に穴から顔を出してくれると参加者とガッツポーズですが、真っ暗になっても変化が無いと、皆無口になり寒さが一段と体にしみ込みますが、気を取り直して何日か通います。
3〜5日通って出て来ないと、地図の上にバツ印が入ります。この作業は4月中旬迄続けて行い、確実に生活している巣穴の地図を作ります。
この頃に成ると寒さも和らぎ、木の葉も少なく、ペアーを求めての行動半径も広がり、夜空を滑空するモモンガの姿を見る事が出来、観察には一番都合の良い季節です。
5月中頃迄は一つの巣穴に数匹が生活していますが、子育てが始まる5月末頃から、メスが巣穴を独占し育児に入ります。オスは他の穴を利用して生活して居る様で、時々巣穴の近くに来ています。
お盆過ぎには子供たちは追いかけっこや木から木へ飛ぶ練習の毎日ですが、フクロウやカラスに襲われるのもこの頃が多いです。
一樹会のモモンガ観察は5月末から9月末迄の育児期間は中止しています。
ポロトの森にもネイチャーガイドを自称する人が来て、堂々と「鳥と雀しか分からないので鳥の名前は聞かないで」と挨拶し、参加者が草花を千切ってもゴミを捨てても何も言わず、何故か数少ない花には蛍光色のテープを彼方こちらに付けたまま帰ります。
駅からこんなに近い所に大きな自然が残っている事は、大切な財産です。次の世代に渡す宝物の森を守るために、ぜひポロトの森に棲んでいる動物たちと巨木に会いに来て下さい。
