私と鳥の本
鳥の姿を求めて、様々な場所へ足を運ぶのも、やめられないが、鳥に関する本を探し回るのもやめられない。
鳥の図鑑はバードウオッチングに欠かせない道具の一つだが、一冊ではどうしても満足できなくなる。最初のうちは携帯しやすいものだけでいいと思う。が、もっと色々と鳥について知りたくなると、自然と本は増えてくると思う。
図鑑だけでなく科学的な読み物やエッセイ、自然保護に関する本などなど。気がついたら私の本棚は鳥に関する本でぎっしりである。図鑑もたくさん集めた。洋書もずいぶんと買った。海外の鳥類図鑑は日本の図鑑よりも内容が優れているものが多いし、図版の美しさは見ているだけで素晴らしい。シギ、チドリ類や洋上での海鳥ウオッチングなどにおいて洋書図鑑には数え切れないぐらいお世話になっている。ここ数年こだわっているフェリーからの鳥見では荷物は重くなるが、ついつい何冊か持ち込んでしまう。
最近は買う量は減ったが、十代の頃は鳥の写真集をよく買った。時代的に平凡社から「アニマ」が月刊誌として出ていた頃がちょうど私が鳥を見始めた時である。嶋田忠や宮崎学の写真集をコツコツ貯めたお金で買い集めていたのを思い出す。鳥類学に関する本に興味を持ったのはその少し後である。写真もいいけど、もっと鳥のことを知りたいと思った。図書館もよく利用したが、本に出費する事を何とも思わない私は買ってしまう事が多い。
図書館、それに書店は大好きな場所。私の場合は古書店に行く頻度が高い。もともと古書店にはよく行っていたし、鳥以外のジャンルの本を探す事もよくやっていた。今はネット上での販売のみという古書店も珍しくはない。確かに便利ではある。私も使う時があるが、自分の足で行き、実際に手にとって確かめて買う方が好きだ。
札幌には魅力ある古書店は多数存在するし、月に一、二度は時間があれば必ずひと回りする。
通称「清棲図鑑」こと「日本鳥類大図鑑」も、「黒田図鑑」こと「鳥類原色図鑑」も購入したのはここ、札幌である。「黒田図鑑」においては、自然科学がまったくの専門外の店で購入。オリジナルで外側は痛んでいるものの、中身は問題なし。これが三千円。価値がわかる店なら絶対にこんな値段で売らないだろう。
同じような店で一冊百円のワゴンの中に遠藤公男の「帰らぬオオワシ」を見つけた事もあった。「ツグミたちの荒野」の方が有名かもしれないが、こちらも大人も読める児童文学として有名。とうの昔に絶版なっていた本との十数年ぶりの再会だった。小学校の高学年の時に図書室から何度も借りた思い出がある本だけに嬉しかった。
その店の専門分野を持っている店を選んで本を探す事が多いけれど、運と時間と体力があれば、ごくまれに奇跡的な事も起こる。貴重な本を破格の値段で手に入れた例はこれぐらいであるが、数々の鳥に関する文献に出会わせてくれた古書店には感謝、感謝である。旅先で古書店を訪ねるのも楽しい。その地方でしか出版されていない文献や思わぬ掘り出し物に出会えるチャンスもある。
最近は若者の活字離れを聞いたり、スーツ姿のいい大人が地下鉄の中でふやけたツラでマンガ雑誌を読んでいたりするのを見ていると、鳥の本だけでなく、書籍全体の未来に対する大きな不安がよぎる。また新刊の本を扱う書店に行くと積まれている本の上に平然と自分の手荷物を置く、大馬鹿者を見たりする。それがまたいい大人だったりする。本の価値が解からない大人が増えてゆくのは悲しい。
ネット上で手軽にたくさんの情報を手に入れる事ができるようになったけれど、間違いなく自分の頭を使って、読んだ本の方が確実に自分のものになると思う。時間の許す限り、鳥の本と接していきたいし、もっと色々な事を知識として吸収できたらいいな、と。
