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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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楽しい漂着物拾い

襟裳岬「風の館」 石川慎也

私の暮らすえりも岬の東側には、百人浜という約10キロ続く砂浜があります。最近の私の楽しみは、この砂浜を犬の散歩もかねて歩くことです。というのは浜を歩いていると、不思議なもの、珍しいもの、面白いものに出会うからです。
それは、漂着物です。まだ、北海道ではあまり聞かれない言葉ですが、浜辺を歩いて、流れついているいろいろな物を拾ったり、観察したり、アート作品に活かしてみることを「ビーチコーミング(Beachcombing)」といいます。
海外や本州では海辺の新しい楽しみ方として注目を集めています。

ビーチコーミングと出会うまでは、海のすぐ側で暮らしているにもかかわらず、ほとんど浜辺で楽しむということはありませんでした。しかし今では、海が時化た後には、何をおいても朝一番に浜を歩きます。時化て荒れた後ほど、いろいろなものが流れつくからです。
私が集めている漂着物は、浮子などの漁業に使う道具やクジラ、アザラシや海鳥などの生物、そして外国からの漂着物です。今では珍しくなったガラス製の浮子は、ビーチコーミングを楽しむ人にとっては、お宝の一つです。
外国では、日本製のガラス浮子についてのビーチコーミングの本が何冊か出版されているほどです。小さなガラス浮子はまだ結構拾うことができますが、大きなものはめったに漂着することがありません。私はまだ一つしか拾ったことがありません。
一方で、ガラス浮子にかわりよく使用されている塩化ビニールやプラスチック製の黒やオレンジ色の浮子は多く流れ着きます。また、韓国、中国、台湾、ロシアといった外国製の浮子、ビン類や容器類も、たくさん漂着しています。
これらの漂着物は、海流に乗って国境をこえて流れてくるので、あらためて海には境界がないことを実感することができます。

さて、私が現在もっとも熱心に記録して集めているものが、クジラやアザラシなどの海獣類や海鳥に関する漂着物(死体がほとんどですが)です。彼らは、広い海で暮らしているので、生きた姿をめったに観察することはできませんが、浜に打ち上げられた漂着物からいろいろな情報を得る事ができます。
例えば、2003年8月19日に見つけたコアホウドリには、アメリカ製の足輪が付いていました。これを北海道海鳥センターに連絡して調べてもらうと、1997年5月29日にハワイ諸島のTern(アジサシ)島で足輪を付けた1,423羽の内の一羽ということがわかりました。ですから、このコアホウドリは、はるばるハワイから襟裳岬周辺まで旅をしてきたことがわかりました。
他にも、昨年の12月に漂着したクジラは、鯨類研究所の調査でハップスオウギハクジラというとても珍しいクジラということがわかりました。これまで、日本でわずか7例の漂着の記録しかなく、北海道からは初めての記録でした。
しかしこれらは、誰かが浜で見つけて記録しなければ、波により海へ戻るなど、またどこかへ流れて消えてしまいます。だからこそ、貴重なお宝(漂着物)との一期一会の出会いを求めて、また浜へと出かけるのです。
皆さんも、ぜひ近くの浜に出かけてみませんか。楽しい出会いがあるかもしれませんよ。

支部報「カッコウ」2005年8,9月号より