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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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鳥インフルエンザ騒動が教えてくれたもの

日本野鳥の会鳥取県支部 吉田良平

1.国内発生の影響
今年、山口県阿東町で高病原性鳥インフルエンザが見つかったのは、日本で79年ぶりであった。その後大分県九重町、京都府丹波町と計3カ所で見つかり、全国的な騒動となった。外国では、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、オランダ、アメリカ、カナダなどでも発生し、アジアではまだ現在も感染が続いていると言われている。これらの国から日本への輸入について、鶏肉はもちろん、生きた野鳥も禁止された。メジロなどの密売との関連で、国内販売の動向が注目される。

2.人への感染についての心配?
高病原性鳥インフルエンザは、鳥での病原性が強いことから名付けられており、人に対して病原性が高いということではない。本来は人に感染する能力のない鳥のウイルスなので、大量に糞(ウイルス)を吸い込むなど特別な事情がない限り、人に感染しない。このウイルスが人から人へ感染するウイルスに変異した場合には、全世界に大流行し、死亡者も多発する恐れがあるとして、世界的に警戒されている。

3.野鳥による伝播?
鳥インフルエンザは、本来は野鳥がもっている弱毒性ウイルスで、鳥に共生していると考えられている。京都・大阪ではカラス9羽から高病原性鳥インフル エンザが陽性であった。京都府丹波町の鶏舎では高病原性鳥インフルエンザで死亡した鶏は糞堆積場に埋められていたが、死亡数が急増したため糞で隠せなく なり、それをカラスが食べて感染したと言われている。カラスも被害者なのである。

日本で79年ぶりに発見されたこと、同じ型のウイルスが韓国で先に流行していたこと、そして、国内3カ所は離れていることから、渡り鳥が感染経路として疑われている。しかし、環境省は、事件発生の3カ所周辺で、山階鳥類研究所や鳥取大学の専門家と調査を行い、野鳥の捕獲し、糞や粘膜を採取したが、ウ イルスは見つけられなかった。問題が表面化してから全国の都道府県に届けられた野鳥の死体1万数千羽のウイルス検査は陰性であった。全国の都道府県でカ ラス・ドバトを捕獲しての調査でもすべて陰性であった。これらのことから国内の野鳥の間にウイルスが広範囲に広がっている可能性は低いと考えられてい る。

支部報「カッコウ」2004年10月号より