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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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いざ献血へ!

ゆうふつ原野自然情報センター   村井 雅之

2000年4月、フリー(フリーターではない)になり、今年で早くも5年目に突入した。と言っても、相変わらずシラミバエのごとく勇払原野(ウトナイ湖)にへばり付き、生きていることに変わりは無い。

フリーになった頃は「どこに行っちまった(逃げたのか)?」とか「生きているのか?」とか、暖かい声も聞かれたが、5年目ともなれば、もうそんな声も聞こえてこない。代わりに聞こえてくるのは、「へぇ〜そんな事でも、生きて行けるんだ」等々、賞賛(?)の声。これら5年目にして聞かれる数々のお言葉は、開設当初以上に、随分と励みになっております。

私は野鳥も好きだが、虫も好き(何でも好き)で、ここ数年は野鳥に寄生しているシラミバエに興味を持っている。シラミバエは野鳥から血を頂いて生活している昆虫で、常にエネルギーのある宿主を探す。宿主にエネルギーが無くなると、さっさと見切りを付けるという、なかなかクールな性格をしている。私もシラミバエのようなもので、宿主は勇払原野。シラミバエと違うのは、吸い上げるのが血ではなく情報であること。そして、何があっても宿主から離れられない。

情報は、新聞や雑誌に書く駄文の元になったり、下手な絵を描いたり写真を撮ったり。時には小咄のネタになって、私の生きる糧となるのだ。先日も、そんな情報を求めて、原野へ。目的は蚊の吸血シーンで、モデルは私と私の血を吸う蚊。蚊は、原野から次々に湧いてくる。私の腕にとまり血を吸う蚊を撮影していたら、ファインダー中の40数匹の中に、シラミバエの仲間を一匹見つけた!

「勇払原野に寄生する私が、シラミバエに寄生される!」

指先に一瞬、緊張が走った。が、シラミバエにとって私は、鳥以下の宿主だったらしい。撮影する前に、ノビタキやベニマシコが鳴く草原へ姿を消してしまった。

私はこれからも、原野で情報を吸い上げ、時々献血もし、あるいは献血する人間を原野に誘い込んで、生きて行くことだろう。これからの時期、原野へ献血に出かけたい方は是非ご一報ください。野鳥や植物、昆虫たちと共に、ご案内致します。献血したい蚊の種類も、選べます。蚊を生かすことは、野鳥を生かすこと。原野に生きる野鳥たちは、皆さんの血で支えられています。

いざ原野へ献血に出かけましょう!

この原稿を書いているのは、某日の深夜。昨年の暮れに頂いた日高昆布を肴に、飲んでいる。酒は350mlの発泡酒が一缶と、焼酎。シラミバエの咬み跡が無いか、探しながら腕を観ていたら、意識が無くなった・・・・。

この駄文の文責は小生にあるのではなく、焼酎にある。

支部報「カッコウ」2004年8・9月号より