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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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鳥・昆虫・自然

坑井データサービス代表 木野田 君公

昨年末、札幌支部野鳥の会に入会した新入生ですが、「札幌の昆虫」という図鑑を発行したためか早くもリレーエッセイが回って来てしまいました。入会後、2回観察会に出席しましたが、講師の方々からは楽しく貴重なお話しをお聞きでき、またご出席の方々も鳥好きの方ばかりで、一緒にいると鳥を発見したときの興奮や野鳥観察の楽しみが伝わってきます。さて、ここでは鳥・昆虫・自然ということで書いてみます。

オナガバチ

森の中を歩いていると、立枯れの太い幹にたくさんのオナガバチ(ヒメバチ)の仲間が集まっている姿(写真はオスの集団)を目にすることがあります。多くはオスで、時々メスが長い産卵管を木に突き刺して産卵しています(産卵後、針のような産卵管が抜けなくなったり、抜くときに途中で折れてしまうこともよくあります。写真の中央部に針のような産卵管が折れて木に突き刺さっているのがみえます)。オスはメスと交尾しようと集まって来ます。ヒメバチは、どうして枯れた木がわかるのでしょう。おそらく何らかの臭いで引き寄せられるのだと思います。産卵管が長いオナガバチの仲間は、枯れた木の中にいるカミキリムシやキバチなどの幼虫を目掛けて産卵し、その幼虫を食べて育ちます。よくもまあ木の外側から中にいるカミキリムシの幼虫の居場所がわかるものです。

さて、鳥ではキツツキの仲間も同様に、木の中のカミキリムシの幼虫などを食べます。鳥の場合は、外見で枯木を判断するのでしょうか。また、枯木を突付いて反射した振動を感知することで、中の空洞の状況とカミキリの居場所がわかるのでしょうか。

ツバメは巣立つまでに約20万匹もの昆虫を食べ、アカゲラは1日におよそ60匹、200日で約1万2000匹のカミキリムシの幼虫を食べ、シジュウカラでは巣立つまでの2週間ほどで推定10万匹以上の虫を食べると言われています。私は図鑑作りのために、この数年でかなりの数の昆虫を採集しましたが、到底鳥の足元にも及びません。カミキリムシの幼虫だって、これまでやっと数匹をみつけただけです。いったい鳥には、自然や昆虫がどのように見えているのでしょう。鳥にとって、虫は生きるための食料なので昆虫を捕まえるということは、当然のことなのでしょうが、それでもその能力はすばらしいものです。あっという間にくちばし一杯に、また、くちばしいっぱいの虫を落とさずに次の虫を捕らえるという神業もやってのけます。彼らの採集能力に対して、現代人の我々には野生の勘なるものが足りないのでしょう。森林にすんでいた頃の原始の人間なら、もっとよく自然をみて感じ理解していたことでしょう。またこの様にたくさんの昆虫を食べる森林の鳥たちは、森林生態系の中で害虫に対する天敵として、また、樹木の種子分散者として重要な働きをしていますが、たくさんの小動物を食べる鳥がどの程度生息しているかということは、森の豊かさの指標にもなります。将来に渡って、(餌付けせずに)たくさんの鳥を観察できる地球であって欲しいものです。

支部報「カッコウ」2006年7月号より