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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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『水俣・札幌展』へのお誘い

(財)北海道環境財団 内山 到

既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私ども北海道環境財団と水俣フォーラム(東京)では、本年5月30日(日)から6月13日(日)まで北海道大学学術交流会館において『水俣・札幌展』を開催する運びとなりました。

私が、『水俣展』を最初に見たのは、2000年夏に開催された東京展でした。1968年札幌生まれ、札幌育ちの私にとって、水俣病事件は教科書のなかで四大公害裁判のひとつとして学習したのみで、すでに過去のものとしての認識しかありませんでした。しかし、『水俣展』が語る水俣病の真実は、単純なメチル水銀による健康被害ということだけでなく、加害企業を擁護する国や科学者、水俣病患者への偏見や差別、補償金へのねたみなど驚かされるものばかりでした。『水俣展』は水俣病の事実そのものをできるだけクリアに伝えることを前提に作られているため、脚色や特定の主義主張にとらわれることなく構成されており、加えて目を見張る迫力のある写真や実物などが見る者の受ける印象を強烈にしています。

私は、純粋に北海道の方々にこの展示をお見せしたいと考えました。そしてこの度実現に向けて準備活動を進めています。昨今の財政事情で行政の予算化も難しく、企業・団体の協賛金、チケット収入で収支を合わせなくてはいけません。環境財団としてもこのような大きな催しは初めての挑戦となります。ありがたいことに『水俣・札幌展』準備会という市民応援組織ともいうべき開催に賛同していただいた多くの市民の協力をはじめ、企業や団体の協賛などを受け、準備活動を進めています。

『札幌展』オリジナルの内容として、北海道ではなかなか聞くことのできない水俣病患者のお話や上條恒彦さん、柳田邦男さん、平田オリザさんなどのお話をお聞きする機会が実現し、その他長編の映画も見ることができます(いずれも有料)。また、関連企画として北海道大学内の組織でもシンポジウムを予定しており、原田正純さんや岡本達明さんなど水俣病を語る上では欠かすことのできない方々の貴重なお考えを直接聞くこともできます。

『水俣・札幌展』は、環境を守ることの価値のみならず、人間・命の重みを問いかけます。それは、どこに暮らす者でも、老若男女を問わず、私たちの生き方や社会のあり方と環境や生命の関わりを考える学びの場であり、これからの将来を生きるうえで少なからぬ果実を与えてくれるものと考えています。年明け早々に開催された川崎展で『水俣展』の入場者は10万人を越えました。この数字こそが、この展示が人々を惹きつける証明です。水俣病公式発見からもうすぐ半世紀、札幌展の会場でよみがえる水俣の言葉や表情、風景の一片でもご記憶の片隅にお加えいただければ幸いです。

※『水俣・札幌展』に関するお問い合わせはこちらまで。
北海道環境財団011-707-7011
支部報「カッコウ」2004年5月号より