身近な鳥の存在と記録
近年,北海道で,以前はみられなかった鳥でも観察される機会が多くなったものもいれば,ほとんどみられなくなったものもいます。また,ある地域では,あまりみられなかった鳥が,よくみられるようになったものもいますし,越冬していなかった鳥も,今では冬に観察する機会が多くなったものもいます。このように,鳥の生息状況は,数年から十数年のスパンで振り返ってみても,変化していることは皆様もご承知のとおりだと思います。
具体的には,以前みられなかったが最近みられるようになった鳥としてダイサギ,最近みられなくなった鳥としては,シマアオジやアカモズが最も知られていると思います。
私は草原で鳥をみる機会が多く,本格的に鳥をみはじめてから約10年とまだまだ日は浅いですが,アカモズはみる機会が減ったなと感じています。また,アオサギやムクドリは冬期にみる機会が増えたのではと感じています。
私も含め,皆様が「ある鳥をみる機会が増えた,減った」と感じていることに大きな間違いはないとは思いますが,昔の記録を調べてみると具体的にどの程度変化したかを知ることは難しいです。では,自分の観察記録はというと具体的な個体数をはじめ,他の観察記録と比較を考慮した記録ではなく,使えないものでした。
鳥の観察は,その目的に応じて,対象種を絞った本格的なものから付近に生息する鳥類相を把握する調査に加え,簡単に鳥を観察するものまで様々です。
現在,私自身も注目している種を観察しながら,他の鳥も観察していますが,個体数が多かったり,付近を何度も横切られたりしていることが多いものは,ついつい観察された鳥の種名のみを記録するだけです。
しかし,鳥類の個体数や観察頻度の変化などが話題にあがる時,よく観察される鳥(優占種)が,見方をかえると観察場所の現状をあらわしていることから,これらの身近な鳥の観察記録というものが重要になるのではと感じることも多くなりました。
最近では,スズメが冬期に大量に死亡したことが話題となりましたが,その際,過去にスズメの個体数を把握した記録があるのかなあと思っておりました。その後,スズメを含め,以前,市街地付近の鳥類相が調査されており,近年と比較している報告をみることができました。その時,改めて基礎的な情報収集の重要性を思い知らされました。
残念ながら,私はここで具体的に身近な鳥の情報収集の方法を示すことはできませんが,多くの方に,身近な鳥の観察記録の重要性を認識していただきたいと思います。そのことが,10年,15年後の長いスパンで考えた時,鳥の観察状況の変化を捉えるうえで意味のある情報が多く集まることにつながると私は思っています。
このことは,注目度が低いかもしれませんが,ある特定の種の生態などを解明していくことと同様に重要なことなのではと感じています。
そのため,探鳥会をはじめ,皆様の観察記録は,のちのち重要な情報となるかもしれません。記録のとり方はもちろんですが,データ整理していただいておくことも重要だとこの文章を読んで,少しでも感じていただければ幸いです。
支部報「カッコウ」2009年6月号より
