厳冬期に出現する虫たち
冬は昆虫の眠る季節だと一般に思われていますが、ところがどっこい、北海道の寒い季節でも平気で飛んだり歩いたりする虫たちがいるのです。特に厳寒期の雪上の昆虫は、羽を持たず歩き回るクモガタガガンボやクロカワゲラという名の虫などがいて、皆さんも林の中などを散歩するときに、雪の上を注意しながら歩いていると、見つけることができます。ユキムシ、という言葉は、トドノネオオワタムシという、アブラムシの一種をさすことが多いですが、雪上の虫たちをさして言うこともあるようです。
雪上の虫は、雪の降る前から雪のちらつく時期まで、ハエ目を中心に多種多様な虫たちがいますが、11月末から羽のある、か弱そうなガガンボダマシというムシが出てきます。体長2センチくらい。夏に出るガガンボというムシをか弱くした感じの虫です。晴れた少し暖かい日に飛び、寒いと雪の上に沢山止まっているのを見かけます。これは春の雪解け頃にも見かけます。
カブトムシに近い仲間では、ハネカクシの仲間、体長1センチ以下の虫が多いのですが、初冬から冬中ずっと地表で活動しているものもいるそうです。
12月になると、ニッポンクモガタガガンボとチビクモガタガガンボが成虫になり、雪の上へ出てきます。ニッポンクモガタガガンボのほうが大きく、体長15〜10mmくらい。形はクモそっくりですが足は6本で、色は最初は肌色に近いのですが、羽化して日数がたつにつれ、色が茶色くなります。動きは、羽のないガガンボがてくてく歩いている感じです。クモの仲間にも同じような動きをするものもいて、とても紛らわしいです。皆さん大抵は、クモと聞いただけで背筋がザワッとする人が多いと思いますが、このガガンボは少しユーモラスな感じがすると思います。
このニッポンクモガタガガンボは12月に成虫になるので、12月に数が多いのですが、この虫の活動出来る温度範囲が極めて限られていて、+0.5〜−5.5℃の間でしか動けません。このため12月でも日光がカンカン照りの暖かいスキー日和の日は、この虫にとっては生死のハザマを行き来する苛酷な日となります。暖かいだけでも死んでしまいます。寒ければ寒いで凍えて死んでしまうのです。こんな日には、活動に適さない温度の時は、雪の中あるいは雪の下は大体0度付近かそれよりいくらか下の温度なので、クモガタガガンボは木の周りに出来た雪の隙間に隠れて過ごしているらしいです。
この虫に会いに行くには、12月後半の曇った寒い日が狙い目で、林の中なら、ほとんどどこででも、活動適温のときに、注意深く探せば見つけることができます。河川敷などにもいますし、北大構内の北大原生林などのちょっとした林にもいるそうです。藻岩山でも、西岡水源池の奥のほうでも、真駒内駅の裏山でもみることができます。
皆さんも、野鳥観察の際には、ちょっと足をとめて、足元の雪の上を観察してみてはいかがでしょうか。

支部報「カッコウ」2008年12月号より
