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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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「バンダーは、楽し?」

鳥類標識調査員  辻 幸治

思い起こしますと、根室の風連湖で行われた鳥類標識調査員(バンダー)の資格講習会に参加しましたのが1992年の9月、早いものであれから16年、その時の講習会で一緒に合格した8名の中には、札幌支部の武本さん、羽幌の有田さん、旭川の磯さん、利尻の小杉さんなど錚々たる方々がいらっしゃいました。またバンダー仲間は、札幌支部会員の中にも多くの方がおられ、今も親交を深めています。

皆さんご存知のように鳥類標識調査(バンディング)は、標識調査の資格を持つバンダーが環境省の許可をうけ、カスミ網などで捕らえた野鳥一羽一羽に個体識別のできる標識(足環や首環など)をつけ放鳥し、その後の観察や回収によって、鳥の渡りのルートや利用する場所、寿命や繁殖開始年齢等を解明して、野鳥の生態研究に役立てようというわけです。

私は、年間調査目標日数を60日間とかかげ、主に春には焼尻島で春の渡り鳥、秋にはウトナイ湖で秋の渡り鳥調査を実施していますが、これはバンダーになってから16年間変わっておらず、16年間の放鳥数は延べ37,000羽、110種類を数えました。

春の焼尻島調査は、ゴールデンウィークの頃から出かけますが、焼尻はその時期、非常におもしろく、一日で島の鳥相が変わることがあり、朝いきなり島中がルリビタキだらけになったり、マヒワだらけになったりします。また珍鳥がよく放鳥され、シロハラホオジロ、カラアカハラ、カラフトムシクイ等は毎年のように、キマユホオジロ、オガワコマドリ、コホオアカ、チョウセンウグイス、シマゴマ、ノジコ、ミゾゴイなども放鳥され、日本標識初記録となったハシグロヒタキは、印象深い思い出です。

ウトナイ湖では、夏の終わり頃からオオジシギをメインに、10月中旬頃まではノゴマを中心に調査を行い、珍鳥としては、アカマシコ、ムジセッカなどがあげられるでしょうか。

ウトナイでのホロ苦い思い出をお話しますと、夜明けとともにバンディングの最中、なぜか湖畔に近づく一台のパトカー。そしてこちらに向かってやって来る警察官、私の元にたどり着いた警察官は、「密猟者がいるという通報を受けて来ましたが、ここで何をしていますか?」と職務質問。かくかくしかじかでバンディングを説明し、「大変なお仕事ですね」と言うので、これはボランティアでやっていて、一銭の報酬も貰っていないと答えると、向こうは笑顔で納得。納得のいかないのはこちらで、どうやら私を密猟者扱いしたと思われる奴らは、そばでキャンプをしていた若造3人組で、その後ちょっとしぼりあげてやりました。

もちろん楽しいことも多々あり、ウトナイの網場には夜明け前から入りますので、日高の山からの美しい日の出や、ガン達の出入等、季節の移ろいを独り占めで楽しむことができます。

個人的な調査の他にも、宮島沼では、ロケットネットを使ったマガンの捕獲調査にも参加。これは、17メートル四方のネットをロケットで打ち込むという方法で、一度に50羽ほどのマガンを捕獲後、首にもカラーリングを取り付け放鳥しました。他にタンチョウ調査、道東の大黒島やユルリ島の調査、鳥島のアホウドリ調査等、機会を見つけては参加しています。

この11月号の会報が出来上がる頃には、福井県越前町の織田山一級ステーションにて、標識調査のお手伝い中と思われます。

支部報「カッコウ」2008年11月号より