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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

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利根別原生林(岩見沢)の想い出

濱野 由美子

私の利根別通いの切っ掛けは、七年前の一月に母が突然入院したことでした。「この入院が最後かも知れない」と聞かされ、高速バスでの実家通いが始まりました。週の半分は滞在し、両親の世話をしていましたが、その年の春、実家近くの利根別に行き、偶然、ミヤマスミレの大群落を見つけたり、ヤマゲラに会うことが出来たのです。その後、自宅近くの野幌森林公園のように、エゾフクロウやクマゲラに会えないかと、早朝一人で通いました。母が無事退院してからは、車椅子の母と大正池まで行って、森林浴やお喋りを楽しんだり、オオルリ・キビタキ・モズ・アオジ・エゾリスなどを一緒に見ました。

父は、杖を突けば歩けるので、下見をしておいた観察ポイントの橋の下で携帯椅子に座って貰い、自分のカメラでカワセミ、オニヤンマ、カラスアゲハを撮って貰いました。橋の上を人が通るたび、隠れている自分たちが何故か可笑しかった。傍らで、カンタン、コオロギ、キリギリスなどが盛んに鳴いているのに、「最近、虫の声が聞かれなくなったなあ〜」という父に、帰ってからビデオで見て貰いました。

利根別の森の中では、沢山の人達との出会いがありました。特に、利根別研究会の会員に加えて頂き、その例会で利根別のシダ(43種)を教わったり、各種市民観察会の下見で、専門分野の先生達から多くのことを学びました。利根別で冬虫花草(セミタケ、カメムシタケ)を初めて見たのも、驚きでした。

昆虫観察会の下見では、昆虫を食べていたトガリネズミ、クワガタ類、うす緑色や水色の美しい、オオミズアオ・シンジュサンの幼虫・ウスタビガの繭・ヤママユの蛹などを見たほか、偶然、エゾゼミ・オニヤンマの脱皮・ルリボシヤンマの産卵も見ました。

野鳥の会にも参加させて頂き、近郊の川や沼で草原の野鳥や水辺の鳥を沢山教えて貰い、鳥見が楽しくなって、冬は歩くスキーで木の実を見ながら、シマエナガ、アトリ、エゾフクロウ、ホウの実を食べていたクマゲラ等を見ました。

利根研メンバーは、毎年春、ウォーキングセンターの開館前に、駐車場の周囲のゴミ拾いをした後、 皆でエゾフクロウを見てから解散します。晴れた日は、コヒオドシ、クジャクチョウやフクジュソウも見られます。間もなく、春の妖精達、シラネアオイ、ヤマシャク、ギンラン、サイハイラン、赤・白のノビネチドリ等が次々と楽しめます。

夏は、札幌で所属している観察会から利根別のガイドを依頼され、半日コースや一日コースを案内していました。一日コースは地形の変化に富み、健脚者向けですが、イチヤクソウやツルリンドウの大群落を見たり、東山池・金志池と大正池や八十八カ所霊場巡りの出来る魅力的なコースです。このコースで見られる主な花は、ジャコウソウ、オカトラノオ、カリガネソウ、ツチアケビ、ギンリョウソウモドキ、ツリガネニンジン、オオヤマザキソウ等です。下見では、ニュウナイスズメ、ヤブサメ、ウグイス、センダイムシクイ、ホオジロ、ミソサザイに会いましたが、観察会の時は姿もなく、残念でした。

現在、両親は札幌市内の高齢者マンションに入居しており、昨年、実家を取り壊したため、私と両親との利根別通いは終わりとなりました。
利根別で出会った人たちの笑顔と興味の尽きない自然に感謝。

支部報「カッコウ」2008年3月号より