北海道におけるセグロサバクヒタキの記録について
池長裕史
日本産鳥類目録第6版(2000年、日本鳥学会)によると、セグロサバクヒタキOenanthepleschankaは北海道、本州、舳倉島及び対馬から10例程度の記録しかない迷鳥とされている。
日本鳥学会の日本産鳥類記録委員会で、本種の国内での記録を調べた際に、それが意外に多いことに驚いた。
野鳥の会の支部報等を含め、何らかの形で印刷物になっているものだけでも20例を超えてしまったので、「記録僅少種」を扱った「日本産鳥類記録リスト」からは除外することになったが、せっかくとりまとめたので、もう少し情報を追加して発表しようと考えている。
印刷物以外にも、インターネットのサイト上にも本種の記録が散見されたので、ホームページのオーナーに連絡して、それらを「私信」として情報提供していただいた。
これまで北海道からは小杉(1991)による1991年4月28日の利尻島での記録が唯一の報告とされていたが、寺沢さんによる天売島の自然情報に関するサイトの鳥類リスト(http://www.teuri.jp/birdlist.html)で、本種が1986年5月4日に天売島で観察されていることがわかった。
このリストでは種名のみで雌雄も個体数も観察者名も不明だったので、詳細を確認しようと寺沢さんに問い合わせた。
けれども、20年以上前の記録なので、寺沢さんも1羽だったという記憶以外、野帳にも「種名のみの記載であり、野鳥の会札幌支部の探鳥会のグループと観察したことが記されている」とのことで詳細は分からないとのことだった。そこで札幌支部に問い合わせたところ、事務局の住友さんから、野生生物情報センターの主催のツアーをガイドされ、1羽を観察したことは記憶しているが雌雄は記憶にない、とのお返事をいただいた。
本種が観察されたことは確かなようだが、何とかそれ以上分からないかと思案していた折に、住友さんから再度、日本野鳥の会北海道ブロック支部連合協議会の北海道地域別鳥類リストに記述があり、斎藤暢という方による写真記録があるらしいことを教えていただいた。
このことを寺沢さんにお伝えしたところ、斎藤さんは寺沢さんの教え子とのことで、ようやく写真にたどり着き、その写真から件の個体がオスであることが判明した次第である。
この記録が、おそらく北海道における本種の初記録であったと思われる。
記録の「発掘」にご協力いただいた寺沢孝毅さんと住友順子さんにお礼申し上げる。
参考文献
- 小杉和樹(1991)利尻島で観察された稀少種の記録.日本鳥学会誌 40:36-40.
- 日本野鳥の会北海道ブロック支部連合協議会(1991)北海道地域別鳥類リスト.野生生物情報センター,札幌市
- 寺沢孝毅(2000)島の野鳥.北海道新聞社,札幌市.
支部報「カッコウ」2007年6月号より
