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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

ポー川史跡自然公園25年間の野鳥の変化

自然ウォッチングセンター 鎌田恵実

ポー川史跡自然公園は、知床半島の付け根、標津町に位置し、天然記念物の高層湿原「標津湿原」や、世界遺産候補一覧にのるカリカリウス遺跡のほか、広大な森、開拓の村や資料館と一日では足りないくらいの盛りだくさんの歴史と自然の公園です。自然ウォッチングセンターでは、25年前から毎年、夏期の自然ガイドを行っています。私も、ここ10年以上毎年ガイドに行っています。

ガイド中は、公園内で住み込み生活をするため、一日中いつでもノゴマやベニマシコに出会え、窓からコアカゲラやアリスイなどを見ることもしばしばでした。自然好きには、天国のような場所です。しかし、2006年を最後にシマアオジを見なくなりました。コアカゲラ、キビタキにも会うことが少なくなり、野鳥が減っているのではと、気になってきました。

1985 年に標津湿原とその周辺の鳥類ラインセンサス調査が行われた資料があり、2000年にも一部私が調査していました。今年は、25年目。同じ調査をして過去の記録と比較すれば、野鳥が減っているか調べられる。ということで、7月20日〜8月14日の間に、7回鳥類調査を実施しました。公園入口から標津湿原、遺跡の森の遊歩道、森の中の作業道の3ルートです。

ポー川史跡自然公園鳥類調査結果(高層湿原ルート)
優占度上位種(優占度 %)、カラス類、ムクドリ類など通過種を除く
1985年 2000年 2010年
ノビタキ 12.12 ノビタキ 11.94 ノビタキ 9.40
カワラヒワ 8.08 ノゴマ 7.46 アオジ 4.27
ノゴマ 7.07 ウグイス 5.97 エナガ 3.42
アオジ 4.04 マキノセンニュウ 5.97 カワラヒワ 3.42
センダイムシクイ 4.04 シマアオジ 5.97 ベニマシコ 3.42
ベニマシコ 4.04 スズメ 3.42
ヒガラ 4.04

鳥類調査としては時期が遅く、8月は暑い日が続きコエゾゼミの大合唱の中での調査となってしまいましたが、どうにか比較できるデータはとれたと思います。

支部報「カッコウ」2010年10月号より

これは使える!「電子の目」

道南桧山支部 橋本英樹

探鳥会などで、普通の鳥を識別する場合も同じですが、近くでじっとしている鳥なら、大きさや色、形など、いろいろな情報を集められますから、しっかり識別できます。でもそれが、遙か遠方を飛んでいる猛禽だったり、一瞬しか見えなかったりした場合は、どうでしょう。少ない情報や印象からの識別では、その精度に不安が混じるのは、仕方ないことだと思います。そして、そんなわずかな情報からでも、野鳥観察の現場をたくさん経てきたベテランなら、確証が無い部分を補う経験でカバーできるのでしょう。が、例えば迷鳥や籠抜けのような場合だったら?経験以上の「事件」が起きてないという保証は、どこにもないのです。

しかも、それが調査の現場だったら、現実問題として「わからないじゃ済まない」のです。種不明のままで、結局は記録できなかったなんていうこともあるのですが、「わからなかった」が「いなかった」という記録になってしまうのは、評価する上で大きな差が出てしまいます。それで、なんとかするための「神の声」でしょうか、その現場になれている人や、対象との距離が近かった人、ベテランの一言など、微妙な根拠で識別しなきゃならなくなったりして。

いずれにしても、しっかりとした証拠が無い以上、折角の観察経験も、次に見た時の「正確な根拠」として蓄積できるはずがありません。

それで、そんな悩みを解決するために、観察結果をなんとか映像記録を残そうと、デジタル機器の利用に取り組んでいます。現時点での到達点を、今回は特集で紹介させてもらいました。

野鳥観察をする方なら、なんとなくわかるかと思いますが、単眼(望遠鏡)よりは双眼ですし、静止画より動画の方が、不思議とよくわかるものです。特集で紹介した機材も、そんな経験から、選択してきたもの。三脚に載っている、あれもこれも。全体がシステムです。

今までは識別を間違っていても、確認のしようもありませんでした。こうして映像という証拠があるお陰で、間違いをかなり減らす事ができていると思います。観察と同時に映像が残っている事で、調査の現場も、かなり様変わりしました。例えば、現場でオオタカと同定していた記録が、宿に帰ってから大きなモニターで映像を確認してみたら、ハイタカになっちゃったりして。時間をかけて繰り返し観察していれば、そんな間違いも当然、修正できたはずです。が、限られた時間の中で結果を求められているというのも、調査現場の実情です。

もっとも、間違いがあるのは調査する方だけじゃないようで。映像化により、個体識別が正確になったことで、クマタカの雌が繁殖期に別の雄と交尾する、浮気の現場も押さえたりできました。前年とペアが入れ替わったりしてしまうことも、良くあることのようです。デジタル機器という「電子の目」が、鳥たちの生活の新たな側面を見せてくれたということでしょう。

さて、この先どんなことが、見えてくるでしょうか。電子の目による情報は、共有できる記録です。目を増やせば、得られる情報も多くなるはず。ぜひ、一緒に取り組んでみませんか?

支部報「カッコウ」2010年8、9月号より

モニタリング — 帯広のアカゲラ調査と全国の森林・草原の鳥類調査

財)日本野鳥の会 自然保護室/
東京大学大学院 生物多様性科学研究室 森さやか

緑豊かな札幌市南区で、近所の野山で遊びながら私は育ちました。そのため、子供のころから野生動物や自然生態系の保護・保全に関心を持っていました。昨年、生態学を学んでいた大学院を修了し、8月から日本野鳥の会の自然保護室で働いています。札幌出身というご縁で、今回の原稿を執筆させていただくことになりました。

現在も大学では、帯広市の農耕地域の分断化した森林に生息するアカゲラの個体群維持のしくみの研究を続けています。キツツキ類は樹木に自ら穴を掘ることができるため、樹洞を利用する他の多くの動物達への樹洞提供者として、森林生態系において重要な役割を果たしています。そのうちアカゲラは、北海道では他のキツツキ類の少ない分断化した森林にも普通に生息しているので、そこでは特に重要な役割を果たしています。つまり、アカゲラの個体群維持のしくみを知ることは、この地域の生物多様性の維持を図る上でも重要だと考えています。
私は1999年からこの研究を始め、毎年調査地の30つがい前後の繁殖個体のほとんどを個体識別し、その繁殖行動をモニタリングしてきました。地味な調査ですが、年数を重ねることによって、営巣木の分布、繁殖成績、個体数の変動、個体の生存や移出入、移動距離、環境要因の変動などのデータを蓄積してきました。最近は、それらを手がかりに個体群維持のしくみや重要な環境要因を明らかにしつつあります。

野鳥の会でも、地道なモニタリング事業を担当しています。環境省からの受託事業であるモニタリングサイト1000(正式名称:重要生態系監視地域モニタリング推進事業)です。この事業では、日本全国の代表的な生態系に設定した約1000か所のサイトを、100年間観測することを計画しています。そして、その結果から生態系の変化を早期に把握し、生物多様性保全のための施策に活かすことを目指しています。
当会が運営している「森林・草原 一般サイト」は、全国422か所に設置されており、本事業の中で重要な位置づけにあるといえます。このような大規模かつ長期的な調査には、多くの市民調査員の継続的なご協力が欠かせません。また、生態系の変化を知るためには、長期的に同一の手法で調査を実施する必要があります。
そこで、調査手法の研修、これまでの成果報告や調査員の拡充と交流を目的に、毎年全国5,6か所で研修会を開催しています。研修会は2日間で、室内講義と野外調査実習を行います。昨年は、全国で100名を超える方々のご参加をいただきました。
研修会では、初めて調査をしてみたいという方の受講も歓迎しています。本事業の調査方法は、一般的な森林や草原の鳥類調査にも使用できますので、ご自身で実施される調査研究にもご活用いただけます。今年度は北海道でも研修会を開催する予定です。札幌支部のみなさまのご参加もお待ちしています。

支部報「カッコウ」2010年7月号より

「うちのカラス君」たち

レクグループ同楽会 木村正之

「ジャー」か「ギャー」か、喧しい声が響く。毎年のことながら、カケス君が来訪すると、我が家の狭い庭地は賑やかになる。

住宅地の真ん中ではあるが、最近流行に逆らって手入れをしていない庭地は、野鳥にとって、丁度いい遊び場らしい。

かっては、四季折々、二十種近い鳥達が訪れてきたが、最近はめっきりすく少なくなった。

周辺のヒトのための環境整備が、行き届き過ぎ(?)のせいかとも思っている。

それでも、カケス君は相変わらず顔を出してくれる常連だし、ヒヨドリ君は常住、スズメ、カラス君などは当然の、お馴染みさんである。

囲っている訳でもないのに、しょっちゅう顔を見せてくれる彼(彼女)。たちは、もはや「うちの鳥」達である。

長年、付き合っていると、「うちの鳥」、時々、思わぬ行動を見せてくれる。

「うちの奴、一体ナニをしてるんダ?」の感じ・・・。もっとも、鳥達もヒトのことを、同じように見ているのかもしれないが・・・。

我が家の周りで遊ぶカラス族は、ハシブト家とハシボソ家、共に一家族ずつ、特に親しい仲でもなさそうだが、、仲が悪い訳でもない。そこに、時期になると、カケスが仲間入り。これも毎年のことなので、お互い納得ずくのようである。

十年程前、しばらくカケス君が留守をしたことがある。それを知ったハシブト君、庭内のクリの木に早々と巣造りの準備を始めた。

これを見た近所のヒト達が私の所に、巣の撤去を要求してきた。経費の問題もあるし、どうしようかと思っていたが・・・。

数日後、カケス君が戻ってきて、大音声!ハシブト君は困惑の末、自主退去。

カケス君のおかげでヒト族の近所問題も一件落着。以後、このクリの木にハシブト君が巣造りを企てる気配はなくなった。

カラスとカケス、普通なら体の大きいカラスが強そうだが、我が家の庭地では、ずっとカケス君の勝ちである。極まり手「叫び出し」。

庭に接した河川敷にオニグルミの木があり、毎年沢山実をつける。一昨年、この実を拾いレジ袋に入れて出入口付近に置いておいた。翌日、レジ袋が破られ、クルミが転がり出していたが放置していた。

毎日2個ずつクルミが少なくなっていくのに気づいたのは数日後。原因不明だったが、ある日、ハシボソ君が持ち去るのを発見。ようやく犯人(犯鳥?)の推定はできた。しかし、何のためか、なぜ2個なのか、理由が判らない。

このクルミ2個事件は昨年の秋も継続、いまだ謎は解けていない。

野生であっても鳥君達、それぞれの個性をはっきしながら、ヒトの作り出す環境変化につき合い、それなりに生活しているようである。

カラス君をはじめ、「うちの鳥」君達、「今日も元気でネ!」

支部報「カッコウ」2010年6月号より

福島潟モニタリングサイト1000ガンカモ類調査を通して

国指定福島潟鳥獣保護区管理員 齋藤敏郎

新潟市街の東20?程に位置する福島潟鳥獣保護区は面積163haの潟湖で、オオヒシクイ5千羽の越冬地として知られています。また、コハクチョウも水原の瓢湖と並び6千羽が飛来しています。

平成元年に福島潟野鳥の会会員として水鳥の全国一斉調査に参加して以来、カウンターを手放せない自然との付き合いとなりました。

オオヒシクイ

標識装着オオヒシクイ 宮川美津夫氏提供

ガンカモ類の重要渡来地であるために、冬季は20回程の生息数調査を行います。モニタリングサイト1000ガンカモ類の秋冬春3回の調査では福島潟野鳥の会のみでなく、新潟大学学生等広く参加者を募集しており、今季は延べ66名の参加協力が得られました。

多くの人に調査を通して、自然環境のバロメーターである野鳥と福島潟の保全に興味を持って頂き、願わくばその中から調査を継続して引き継いでくれる人材が育ってくれれば幸いと思っています。

福島潟は葦原と承水路が入り組んでおり、水面を一望することが出来ません。そのために5組のカモ班と、白鳥と雁が飛び立ったところをカウントする班に別れて調査を実施しています。氷点下の朝はなかなか飛び立ってくれず、時間と根気の必要な調査方法です。

そのほかハクチョウとガンの広域越冬行動調査として、夜明けからの周辺ねぐら調査と周辺採食地調査を東西南北の4班に分かれて車両で迅速に行っています。

今季は暖冬の長期予報でありながら寒気が居座るという異常な天候で、オオヒシクイの南下が少なく、また不安定で例年同期を毎回下回る数となりました。オオヒシクイの今季最大飛来数は12月中旬の3,966羽で4千羽を超える事はなく、1997年〜98年以来の少なさでした。また、日周行動にも変化が見られ、通常ならば日の出前にマガン、そしてオオヒシクイ、日の出後にコハクチョウの順に潟から飛立って行くのですが、なかなか通常通りに飛立たない状況がシーズンを通して多かったと感じています。

飛び立たないで休息や採食をしている原因として幾つか考えられることがあります。

  1. 南下飛来して来た直後で、体力を消耗しているため飛ばずに休息や採食をしている。
  2. 積雪等の影響で、周辺での採食が困難である場合には体力消耗を防ぐために休息をしている。
  3. ねぐら環境に異変があり、夜間に十分な休息が出来なかった。

秋の渡来期は 1. にあたりますが、なかなか飛んでくれない傾向は12月中旬に雪が降るまで続き、そして降雪期となった12月中旬以降は、積雪による影響と思える潟内休息が多く観察されました。

3. に関しては、キツネが日中にもかかわらず複数回観察されていますが、夜間のねぐら状況は不明のため断定は出来ません。

オオヒシクイの越冬数やコハクチョウ幼鳥数などをカウントしていると、気象状況と密接な関係があることが推察されます。

わずか163ヘクタールの鳥獣保護区で起こっている事を通して、地球規模で進んでいる気候変動や環境変化を鳥たちは教えてくれているような気がしてなりません。

支部報「カッコウ」2010年5月号より

大阪湾(堺第7−3区)産廃埋立地における生物多様性の保全

日本野鳥の会大阪支部 清水俊雄

1.堺第7−3区産廃埋立地の概要

大阪府堺市の臨海部にある産業廃棄物処分地(堺第7−3区という)は、1974年〜2006年の約32年間で、約5千万トンの瓦礫・土砂を投入して埋め立てられた。その広さは約280ヘクタール、甲子園球場の約70倍に相当する。堺第7−3区の植生は、多年草群落から低木群落に移行しつつあり、エリア内にある3か所の池にはヨシ群落が広がり、ヒメガマなどの抽水植物も見られる。動物では、鳥類の101種、ほ乳類がイタチなど3種、爬虫類はアオダイショウなど3種、両生類ではヌマガエル、そのほか多種の昆虫類が生息している。

2.多様な鳥類とチュウヒ

鳥類では、主にタカ類12種、カモ類12種、シギ・チドリ類27種、サギ類5種カモメ類6種、その他コミミズクの記録やスズメ目の鳥も多種類生息している。これまでここで記録されていなかったウグイスとホオジロが09年に確認された。植生が遷移している証しである。そのうちの絶滅危惧種は、チュウヒ、セイタカシギ、ツバメチドリ、コアジサシなどで、なかでもチュウヒは絶滅危惧?B類にランクされている。日本野鳥の会大阪支部では、05年より堺第7−3区で、チュウヒを中心とした鳥類の生息調査をスタートさせ、06年に1羽、07年に2羽、09年には、1羽のヒナの巣立ちを確認した。食物連鎖の頂点に位置するチュウヒの生息環境を保全することは、堺第7−3区の生物多様性保全のためにも喫緊の課題である。

3.生物多様性とは

地球上には3千万種とも言われる多種多様な生き物が生息しているといわれ、様々な環境のなかで、互いにつながり支えあって生きている。そのような生物の多様性が、今急速に失われようとしている。開発による自然環境の破壊、地球温暖化の影響や人間の生活習慣の変化、外来生物など原因は様々である。2010年は国連の国際生物多様性年で10月に名古屋市で開催予定の第10回締約国会議(COP10)に向けて、日本の果たす役割が期待されている。

4.事業活動と生物多様性保全との整合性

現在「共生の森」エリア(約100ha)で植樹事業が進められている。これまでに約35種、3万5千本が植えられた。今後、草地環境が減少しチュウヒの繁殖が難しくなることを懸念する。また、未利用地(約20ha)で建設が始まった太陽光発電所の設置が、地球温暖化を防止するための有効な手段であるとしても、温室効果ガスの排出削減だけでは環境問題への対応が不十分だといわれているなか、それが生物多様性保全に配慮されずに進められるならば、いかがなものであろうか。生物多様性は、「種の多様性」のみならず、「遺伝子の多様性」や「生態系の多様性」などと相まって成り立っている。わが国の生物多様性基本法に照らしても、最優先されるべきは、多様な生き物の生息に配慮し、必要な措置を講ずることである。また、この地区を鳥獣保護区特別保護地区に指定することも有効と思われる。

支部報「カッコウ」2010年4月号より

こどもエコクラブの活動〜身近な自然と仲良くなろう〜

こどもエコクラブ紅南探検隊代表サポーター 安田秀子

私がこどもエコクラブの活動を始めて今年で十三年(埼玉県川越市で一年、石狩市で十二年!)になる。小学生の甥の子育てに関わったのがきっかけである。ゲーム大好き少年だった甥。ほっておけばいつも家の中で遊ぶ。友達が来ても、皆、家の中でゲームをしたりマンガを読んだり。子どもには判断能力がない。高々十年の人生経験で何が良くて悪いのか適正に判断するのは土台無理。自分が経験した中で、自分が楽しいこと、面白いと思うことをしたいに決まっている。幼少期、自然の中で遊ばざるを得なかった世代である私は、甥達が自然を知らないまま、自然に触れることなく大人になってしまうのではないかという危機感を覚えた。自然を知らない大人が増えたらどうなるのだろう?
自然の価値を知らない大人が作る社会、世の中はどうなるのだろう?
その人間の幼少期の原体験は、その人間の価値観に大きく影響するのではないのか?
自然に触れるという原体験は人間にとって必須のことなのではないのか?
子ども達を外に連れ出し、自然に触れる体験を提供するのは大人の役目・義務なのではないのか。

平成七年、環境庁は楽しみがら環境活動に取り組む小学生対象の「こどもエコクラブ」事業を開始した。平成九年、甥は小学四年に。私は近所の親子に呼び掛けエコクラブを立ち上げた。当時、川越市の西端に居住、新河岸川、不老川、ため池、用水路、水田・畑が広がっており、それなりに身近に自然があった。水質調査をしながらの川探検。行く先々で発見があり面白かった。一番喜んだのは付き添いの親達だった。埼玉県の野鳥の会か何かの方を講師にお招きし、新河岸川沿いで野鳥観察会も行った。初めてカワセミを見ることができ皆感激した。野生の生き物は実は私達の身近にいるのだ。私達が見る目をもたないだけ。

翌年、石狩市の実家に引っ越した。ここでもクラブを立ち上げようとコーディネーターである環境課を訪問するが、エコクラブの存在を知らなかった!
ともあれ5年生になった甥とその友達がクラブ員となり、石狩市第一号のクラブを発足させ現在に至る。子どもは地域で育つ。子ども達が歩いたり、自転車で行ける近所の自然に触れる活動を中心に行っている。活動のテーマは一貫して「身近な自然と仲良くなろう」である。防風林、発寒川、学校林、星空観察、雪調べ、一年中ネタは尽きない。北海道には自然が豊かにあるという。しかし、北海道の子ども達が豊かにあるという自然に日々触れる生活をしているのだろうか。北海道の人間が自然の役割や価値が本当に分っているのか疑問である。

一九九二年の地球サミットのリオ宣言では、人類の持続可能な発展のためには環境保護は不可分で、各国は自然(生態系)の保護・保全に協力するべきと謳っている。生物多様性条約(一九九三年)では、種・遺伝子・生態系の多様性保全のために、生態系・生息域内保全が必要としている。また、生物の持続的利用のためには自然(生態系)が持続可能でなければならないことも読み取れる。改めて人類にとって自然はなくてはならないものであることを痛感する。

自然の価値と重要性を再度認識し、そのことを次世代を担う子ども達にきちんと伝えていかなければならない。果たしてそれが今できているのか?
北海道の環境教育は十分機能できているのであろうか?
学校教育の中だけでは限界があると思う。地域の自然をよく理解している教員は少ないと思う。地域の自然を子ども達に伝えるのは地域に住む者の役目なのではないだろうか。

支部報「カッコウ」2010年3月号より

北ベトナムで鳥、花そして虫

日本野鳥の会札幌支部会員 温井 日出夫

北海道の冬鳥もいいのですが、寒くなると僕は渡り鳥のように南下します。でも繁殖 ・子育てのためではありません。熱帯や亜熱帯のあのムンムンした湿度は、湿式サウナのようなもので、冬が近づくと無性に恋しくなります。 そんな訳で昨年の11下旬にベトナム北部の鳥見ツアーに参加しました。

鳥見ツアーでの僕の流儀は、鳥見仲間に紛れ込んで樹上・樹幹・雑木林・道端の鳥を見ながらも樹の花、草花、昆虫を探し、写真も撮りながら目一杯楽しむことなのですが、ジグザグ行進、行きつ戻りつの行進をしながらも視線は上中下に目配せし、時には中腰、時にはしゃがんで写真を撮り、それもシャッターチャンスを逃すまいと無呼吸で頑張るため、ツアー前に必死で蓄えたエネルギーをどんどん使い果たすハメになります。体力はまあ、5日も持てばいいところでしょうか。
さてベトナムでの探鳥は、ハノイの街の雑踏に隣接する「 植物園 」を皮切りに、「 クックフォン国立公園 」(野幌森林公園に山林を加えたイメージ)、「タムダオ国立公園」(共産圏の高級官僚の為の高地リゾートか)の3ヶ所だったのですが、総じて鳥は遠いうえ警戒心が強く、個体数も少ないことから写真には苦戦しました。実は今回のツアーでは鳥 ・花 ・虫の写真を効率よく撮る方法として、樹の花をじっくり狙おうと目論んでいたのですが、乾季のせいか都合よく咲いてなく完敗。でも鳥は来ないにしても、高木に着生ランが見られたのは収穫でした。

ツアーでの鳥確認種は 77種ですが、鳥集中度 1/3の僕にも見れた鳥は、キゴシタイヨウチョウ、コンヒタキ、ムナグロアカハラ、ヒメフクロウ、アサクラサンショウクイ、クロウタドリ、コウラウン、シキチョウ それに札幌でも見られる クロツグミ、ルリビタキ、ビンズイ 位で、大半は鳥は一瞬のうちに視界から消えていきました。

掲載の写真は、ハノイ植物園で見た「オオトモエ(威嚇目玉模様のある蛾)」を狙っている「コンヒタキ」ですが、僕は熱帯・亜熱帯の自然で面白いのは、虫の擬態ではないかと常々思っています。「オオトモエ」のほか、真っ赤な蜘蛛にそっくりのカメムシ「アカヘリサシガメ」、危険を感じると葉っぱのふりをするキリギリスの仲間「クサキリモドキ」、羽裏がこの葉そのものになる蝶「イワサキコノハ」、そしてマダラチョウに真似している多くの蝶たち、皆ある種の擬態と思われます。虫達は鳥やトカゲやカマキリなどに食べられない様に、まずく毒のあるものに化けているのか、神のみぞ知るということか。
さしたる南国の花は咲いてなくても、路傍には帰化植物と見られる花が咲き、気温さえ上がればアゲハ、シロチョウ、マダラチョウ、セセリの仲間など蝶が乱舞し、写真などで確認できた蝶の種類は約90種と、夢が予期せぬ形で実現しました。
「ベトナム、万歳!!」 佐々木さんはじめツアー仲間に感謝、妻に感謝です。

支部報「カッコウ」2010年2月号より

ミツバチ、たまに鳥

オホーツク支部会員 関養蜂場 関 高史

5年間勤めた知床のネイチャーガイドから転身、養蜂家になりました。網走のひよっこ養蜂家から「身近なようで身近でない」ミツバチと蜂飼いの生活について、少しご紹介したいと思います。

鳥を探してウロウロしていたら、蜂の巣箱が並んでいて驚いた経験がある方もいるかもしれません。スズメバチと違い、命にかかわることは少ないにしろ、ミツバチも蜂のうち、問題を起こさないように、人目につきにくい場所で飼われていることが多いのです。さらに、ミツバチの生物としての特殊性も、ミツバチへの不思議を増しています。飛び回るミツバチは、それ一匹では生きてゆけません。一匹の女王蜂に、たくさんの働き蜂(実際には雄蜂もかなりの数いますが)からなる一群が、生物として継続する最小単位になります。こうした「超個体」的な性質が、ミツバチを、他の虫とやや違う印象にしているのかもしれません。
さて、これも意外に感じる方がいるかもしれませんが、僕らの飼育しているミツバチは、家畜です。はるか昔、どこか西洋で人に飼われるようになって以来、ずっと人間と共に暮らしてきた一族の末裔なのです。そして僕ら蜂飼いの仕事も、その頃からほとんど変わっていません。単純に言うと、この蜂たちが快適に暮らせるように、お世話をすることです。定期的に巣箱を覗いては、ご機嫌をうかがい、必要な手入れをしてあげます。蜂たちは巣箱を中心に数キロを自由に飛び回り、蜜と花粉を集めます。
大昔より、自然の中で続けられてきた人間とミツバチの生活、と聞くと、なんだか牧歌的に感じられます。ミツバチに理想的な自然豊かな場所、そんな場所でのんびり鳥を見られたら最高、なのですが、実際はなかなかそうもいきません。ずらりと並んだ巣箱を一つ一つ点検するとなると、鳥を見ている余裕はありません。もっとも、そこは網走、初夏は賑やかです。ビンズイにベニマシコ、クロツグミ、アカハラのさえずり、オオジシギのディスプレイを耳だけで楽しみながらの仕事になります。

もともと温暖な地域出身のミツバチにとって、冬越しは試練です。スズメバチの場合、秋に生まれた翌年の女王蜂が、単独で冬眠します。しかし、ミツバチに冬眠はありません。コロニー全体が、「おしくらまんじゅう」状態で最低限の温度を保ち、モゾモゾとしてすごします。当然、その分食料も消費します。そこで、まだ気温が高く、蜂たちが活動できる9月のうちに、春までの食料を貯蔵させるべく、大量の砂糖水を与えます。おりしもヒシクイが渡ってくる季節、能取湖や網走湖周辺の畑には、渡り途中のひと時を過ごすガンの群れが、油断のない視線を送ってきます。やがてやってくるオオハクチョウも横目で見ながら、ひたすら砂糖を溶かし、給餌に奔走する日が続きます。網走湖には、徐々にカモの姿も増えてきます。やがて、初雪のころ、ミツバチの巣箱はひっそりと静まりかえります。

天候や環境が、生活に直結していると「自然を楽しむ」感覚は、つい忘れがちになります。しかし、短い花の季節に得られた一瓶のハチミツは、いったいどれだけの花を、ミツバチがまわった結果なのでしょう?ビンに詰まったハチミツを眺めながら、自分の仕事ながら、不思議に思うことがあります。そんな自然からの恵みを、社会につなげてゆく、そうした仕事でありたいと思っています。

ミツバチは今、静岡県の天城山中で冬越ししています。ヤナギの花が咲く4月末には、再び網走に帰ってきます。新しい巣箱作りとハチミツのビン詰めに追われる毎日、次の探鳥会には、出かけてみようかな。

支部報「カッコウ」2010年1月号より

歌才ブナ林・鳥ごよみ

黒松内町ブナセンター 明石かおる

北限のブナ林を代表する森として天然記念物に指定されている「歌才ブナ林」をフィールドにして15年になりました。もともと花好きだった私が歌才で鳥三昧の日々を過ごしたのは、歌才ブナ林の「鳥ごよみ」を作ろうと、月3回のラインセンサスを行った2001年から2002年のことです。この時の調査で約60種の野鳥が確認でき、その後の観察も合わせると、歌才ブナ林での確認種数は約90種となりました。

この調査のおかげで、季節ごとの鳥の動きを知ることができ、ブナ林での鳥たちとの出会いが新たな楽しみとなったのです。

3月、残雪のブナ林にゴジュウカラのフィーフィーという高い声が響くようになると春はもうじき。4月にウグイス、アオジがさえずり始めると本格的な春の訪れです。その後、センダイムシクイ、エゾムシクイ、コルリ、オオルリ、キビタキと夏鳥たちが順次やってきて、5月のブナ林はにぎやかな鳥のコーラスであふれています。

この季節、ブナの透き通るようなライトグリーンの若葉とのコントラストが美しいのがキビタキの胸のオレンジ色。大木が林立し、低木と高木の中間を埋める亜高木層の木々が少ない明るい歌才の森では、キビタキが下枝に止まっているのによく出会います。そして、耳にこびりつくのはツツドリのポポ・ポポ・ポポという低音のリズムとセンダイムシクイのチョキチョキビ〜のさえずりです。ブナ林を案内していると、鳥に興味のなかった人でもこの2種の鳴き声は確実に覚えていってくれます。

初夏、緑が濃くなったブナ林で印象に残るのがアオバトの声。「ちょっと不気味。人かと思った」と初めて聞いた方はびっくりしますが、手持ちの図鑑でその美しい緑色の姿を見せると「ぜひ一度見てみたい鳥」に格上げです。

7月、鳥のさえずりが静かになり、幼鳥たちがチイチイいいながら飛び交う季節になったかと思うと、足早に夏は過ぎ、9月末にはほとんどの夏鳥の姿は消えてしまいます。

秋、ブナが黄金色に輝く頃、カケスがどんぐりをくちばしからはみ出さんばかりにくわえていたり、ヤマガラやゴジュウカラが、樹皮の割れ目にさしこんだブナの実をつついているところに出会います。また、クマゲラの目撃や鳴き声を聞く機会が増えるのも秋から冬にかけてです。


こんな具合に、歌才ブナ林はブナだけでなく鳥との身近な出会いにあふれている森です。鳥好きな方からは「ここの鳥たちは人なつこいですね」なんて言われるほど。たしかに、1人で歩いていると、人をおそれず目の前に現れてくれることが多く、双眼鏡がなくても鳥の姿、しぐさをよく観察できます。まさに鳥参上!の歌才ブナ林、一度来てみてください。

支部報「カッコウ」2009年12月号より