ヤブサメを見たいという気持ち
14年くらい前の事。一眼レフカメラを買い、何となく野山に出かけては野鳥を撮影し、現像して図鑑と照らし合わせ、野鳥の名前を覚えることが楽しかったころ。どうしても見たい鳥がヤブサメだった。それは今でも変わらないが、本当に好きな鳥である。
ご存知だと思うが、笹やぶの中で「シシシシ」と虫のような声で鳴いてるあの鳥である。最初は本当に虫だと思っていたが、札幌支部の探鳥会に参加したときに、ヤブサメという鳥だと教えてもらってから、どうしても見たくなってきた。正直、図鑑などで見る写真はハッキリ写っていない物が多く、お姿をこの目で確かめたかった。
ヤブサメは春になると渡って来る夏鳥で、低地の地表近くのやぶの中にいる。大きさはたった11cmしかない。その小さな鳥が、東南アジアから何千キロも飛んで北海道まで来るのである。
日本近海でフェリ-に乗ってると、突然ヤブサメが空から落っこちてきた話を聞いたことがあるが、あの体で飛んでくるのだから当然かもしれない。無事にたどり着く確率はどのくらいなんだろうと思ってしまう。
長い渡りのせいか、こちらに居るときは、もっぱら地面をピョコピョコ歩いて?移動している。本当に可愛い鳥で、尾羽が短いのが何となくカワセミにも似てるような感じである(色は地味で目立たないが)
私の場合、ヤブサメを見るだけではなく、どうしても写真にも撮りたいので、気合の入れ方が違う。
まずヤブサメの居そうな林道沿いにしゃがみこみ、笹やぶをジッと見ていると、かなりの確率でヤブサメの動く姿が確認できる。後は出てくるのを待つだけだが、出てくるか、出てこないかは半々で、小雨のときは結構林道に出てくる。
他、やぶの中は普段あまり見かけない面白い鳥が沢山居て、センダイムシクイ、ウグイス、エゾムシクイ、クロツグミ、コルリ、メジロ、クロジなどもたまに観察できる。動物ではヤチネズミなどが見られることもある。
結構、笹やぶ観察は楽しいのである。コツは笹の枝が混んでない、隙間に視線を集中させることで、最初は周りの枝が邪魔でイライラするが、時間が経つと枝自体が見えなくなる(ような)感覚になり、動く鳥たちが見えてくるのである。
ウソだと思ったらやって見るといい。もし、それでダメならその人は笹やぶ観察に向いていないのでやめたほうがいい。
観察時に気をつけないといけないのがダニである。帰宅後は服にダニがついていないか確認しないと大変なことになる。野鳥を見てると、たまにダニをつけた鳥に出会うが、本当に気の毒な気持ちになる。
ところで、笹やぶの鳥たちの性格はというと、臆病で、物音に敏感、ストロボを1回発光するとすぐに逃げてしまう。でもすぐに戻ってくるので本当はあまり気にしないタイプかもしれない。特にコルリやセンダイムシクイはその傾向が強い。行ったきり戻ってこないのがクロジで、一度撮影に失敗するとその日は撮影終了となる。
最後に、いろんな人になぜヤブサメが好きなのかと聞かれるが、どう答えたらよいか分からないのが本音である。
地味で小さく、普段は見えずらい上、さえずりも「シシシシ」ばかり。ちっとも面白くない鳥であるが、じっくり見る機会があれば、何となくその魅力が分かると思う。
そろそろそんな季節がやって来るので、今から楽しみにしている。