*

Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

釣師のたわごと

ムービーカメラマン・野鳥の会札幌支部会員 星原康伸

自己紹介を少々。生れ育ちは札幌、一応戦後の生まれです。現在の職業は窓際ムービカメラマン。
野鳥の会札幌支部会員、趣味は皆さんから悪評の釣りをぼちぼちと。どう見ても鳥にとってはあまり歓迎すべき存在とは言えない私です。そんな私に編集担当のKさんからどう間違ったのか原稿依頼がきました。よっぽど困った末のことだったのでしょう、昔からの付き合いもあり引き受けてしまったのです。

さて、さて・・・。昭和四十六年の冬、知床ウトロでのオジロワシの撮影が鳥との付き合いの始まりでした。当時はオジロの数も少なく地元のMさんの案内でかなり苦労して長玉で撮ったのを思い出します。仕事から入った鳥との付き合いですが子供の頃から円山周辺の山々や白石、厚別、茨戸等の川で遊び回っていた感覚が呼び覚まされたのかだんだん自然そのものに魅せられていきました。

映画作りの相棒のWさんに写真家、林大作さんを紹介していただいたのもこの頃です、カワセミ、ヤマセミ始めずいぶん色々な野鳥を撮らせてもらいました。

ある時、林さんの自宅に伺った時、たしか夜七時頃だったと思いますが、すでにパジャマ姿で翌日の撮影に備えて寝る態勢に入っていたのには驚かされました。毎日この状態とのことでした。野鳥撮影にかける思いがすごい人でした。

私自身、鳥への興味は増していったものの、バードウオッチングそのものにはあまり惹かれることがなく、子供の頃にやっていた釣りの世界の方にどんどんのめりこんでいきました。とにかく自然のなかに身をおき、一日中、川や湖で過ごすことが心身の平安と自分の存在を確認できる唯一の方法でした。

竿を振りながら川を上っていくと瀬からの落ち込みがゆったりとしたプール状になったところが出てきました、最高のポイントです、そーっと近づきます。にんまりとかなりすけべ顔になっているかもしれません?!突然バタバタ・・・びっくり、マラードが飛び立ちました。
・・・もうこのポイントはオジャンです。こういう時ほど鳥がにくたらしくなるときはありません。すけべ顔が鬼顔になってしまいます。撮影の時にはブラインドに入りあれほど待ち望む野鳥たちなのにずいぶん勝手なものです。

飛び立ったあとの水面にはボディフェザーが数枚浮いています。まあ今回は許してあげましょう。フライの良い材料になりそうです。

それにしても川や湖で釣りをやっていると野鳥たちにはほんとうに良く出会います。釣りのじゃまをしない分には釣師としても大歓迎なのです。

昔、5月のオコタンペ湖の流れ込みでフライを振っていた私のそばにアカエリヒレアシシギの数十羽の群れが降り立ちました、私の足元の水面をクルックルッとかわいらしく小さなデコイのように泳ぎ回っています。なんか嬉しくなってのんびり釣りをやったのを思い出します。

真冬の道南、利別川のアメマス釣り、対岸の木に止まりじっとこっちを見ている孤高のオジロワシ。

夏の渓流で手が届きそうな岩でチョコチョコと動き回るカワガラス。
竿を振る目の前をスイーと飛んでいくカワセミ、あのコバルトブルーの羽根、思わずヨダレが出てしまいます。

夕暮れの川面をヒラリヒラリと飛び回るエゾフクロウ。

ボボゥーと神秘的に鳴き交わすシマフクロウのつがい。釣りに溶け込んでいるとなぜか不思議と鳥たちに出会えるのです。

ガチンコでお互いビックリすることもありますが、双眼鏡を持たず肩の力を抜いてのんびりと一日川を歩くのも楽しいと思います。いつものバードウオッチングとはちょっと違った鳥たちの世界が見えてくるかもしれません。皆さんもぜひ一度川に浸ってみてください。

などと釣師の弁解とたわごとでした。

編集係注

「長玉」
ナガタマ、カメラの望遠レンズ。
「マラード」
mallard マガモのこと。
支部報「カッコウ」2006年3月号より

自然を通じて感じること

酪農学園大1年 木村駿介

近年の地球は温暖化や異常気象の増加などで環境負荷の少ない「持続可能な社会」が必要だといわれている。なぜなら、環境破壊が進み続けている世の中において、私たちは車に乗り、必要以上の消費をしながら生活しているからだ。

私たちは地球の異常に気づきながらも過剰消費を続け、地球を破壊している。私たちが食べる養殖のエビのために広大で豊かなマングローブの森が焼かれ、地球温暖化を促進させる。また、養殖場がなくなった後の土地は塩害の被害で、作物など決して作ることのできない土壌に変えてしまうのだ。多くの野生動物たちが生活の場を奪われ、死んでいくのみであり、このままでは野生生物だけでなく人間も生きていくことが不可能になってしまうのではないだろうか。

自然界のすべての生き物が相互依存のなかで生きている。野鳥の会の活動の野鳥を観察するという行為は自然界の一部を観察していることになる。なぜなら、数年の野鳥の数量の違いなどから自然界の変化をデーターとして予測することが可能であり、野生動物と人間が共生していこうという試みの中で、野鳥は外せない動物の一種であると思うからだ。

静かな森にそっと耳を凝らすと様々な音色が聞こえてくる。小鳥の囀り。虫たちの合唱。そして、葉っぱがカサカサとなり、突然の「ガサ!!」という音で野鳥が飛び立っていく。野鳥にも様々な種類がいる。かわいらしいコゲラがいれば、雄大な姿で大空を飛ぶオオタカなどの猛禽類。鳥たちそれぞれに独自の生活があり、持ちつ持たれつの弱肉強食の社会を生き抜いている。それぞれが自らのため精一杯に生きることが、他の生物、大きな枠組みの中では生態系をも生かすことになる。この点が人間と野生生物のちがいだと定例会に参加し感じた。

野鳥の会を通し、エコツーリズムを知ることができたのではないかと思う。そして、この活動は自然というフィールドワークでやるので、野鳥のみならず草花も楽しむことが出来るということから、自然を身近に感じる活動としては最適であり、もっと多くの人が野鳥を通して自然に親しみ楽しんでほしいと思った。しかし、私たちは自然の野山や林を歩くだけの自己満足で終わってはいけない。それは、この自然を破壊している張本人は私たち自身であるからだ。

この地球という惑星は人間の所有物ではない。むろん自然も人間の所有物でないし、動物についても同様なことだ。いままで人間は自由に暮らしすぎた。人間は神でないし、生態系の頂上に君臨する生き物でもない。人間とは何百万種のうちの1種の動物に過ぎない。その1種の動物がここまで地球という惑星を独占し占領し、破壊尽くしていいのだろうか。

私は野鳥の会を通じて、少しでも多くの人が自然は人間の所有物でないということに気づき人間の愚かさを知ってほしいとおもう。人間が作り上げた文明は素晴らしい、しかし自然はもっと素晴らしく美しいものだ。

支部報「カッコウ」2006年2月号より

私と鳥の本

日本野鳥の会札幌支部幹事 北山政人

鳥の姿を求めて、様々な場所へ足を運ぶのも、やめられないが、鳥に関する本を探し回るのもやめられない。
鳥の図鑑はバードウオッチングに欠かせない道具の一つだが、一冊ではどうしても満足できなくなる。最初のうちは携帯しやすいものだけでいいと思う。が、もっと色々と鳥について知りたくなると、自然と本は増えてくると思う。

図鑑だけでなく科学的な読み物やエッセイ、自然保護に関する本などなど。気がついたら私の本棚は鳥に関する本でぎっしりである。図鑑もたくさん集めた。洋書もずいぶんと買った。海外の鳥類図鑑は日本の図鑑よりも内容が優れているものが多いし、図版の美しさは見ているだけで素晴らしい。シギ、チドリ類や洋上での海鳥ウオッチングなどにおいて洋書図鑑には数え切れないぐらいお世話になっている。ここ数年こだわっているフェリーからの鳥見では荷物は重くなるが、ついつい何冊か持ち込んでしまう。

最近は買う量は減ったが、十代の頃は鳥の写真集をよく買った。時代的に平凡社から「アニマ」が月刊誌として出ていた頃がちょうど私が鳥を見始めた時である。嶋田忠や宮崎学の写真集をコツコツ貯めたお金で買い集めていたのを思い出す。鳥類学に関する本に興味を持ったのはその少し後である。写真もいいけど、もっと鳥のことを知りたいと思った。図書館もよく利用したが、本に出費する事を何とも思わない私は買ってしまう事が多い。

図書館、それに書店は大好きな場所。私の場合は古書店に行く頻度が高い。もともと古書店にはよく行っていたし、鳥以外のジャンルの本を探す事もよくやっていた。今はネット上での販売のみという古書店も珍しくはない。確かに便利ではある。私も使う時があるが、自分の足で行き、実際に手にとって確かめて買う方が好きだ。

札幌には魅力ある古書店は多数存在するし、月に一、二度は時間があれば必ずひと回りする。

通称「清棲図鑑」こと「日本鳥類大図鑑」も、「黒田図鑑」こと「鳥類原色図鑑」も購入したのはここ、札幌である。「黒田図鑑」においては、自然科学がまったくの専門外の店で購入。オリジナルで外側は痛んでいるものの、中身は問題なし。これが三千円。価値がわかる店なら絶対にこんな値段で売らないだろう。

同じような店で一冊百円のワゴンの中に遠藤公男の「帰らぬオオワシ」を見つけた事もあった。「ツグミたちの荒野」の方が有名かもしれないが、こちらも大人も読める児童文学として有名。とうの昔に絶版なっていた本との十数年ぶりの再会だった。小学校の高学年の時に図書室から何度も借りた思い出がある本だけに嬉しかった。
その店の専門分野を持っている店を選んで本を探す事が多いけれど、運と時間と体力があれば、ごくまれに奇跡的な事も起こる。貴重な本を破格の値段で手に入れた例はこれぐらいであるが、数々の鳥に関する文献に出会わせてくれた古書店には感謝、感謝である。旅先で古書店を訪ねるのも楽しい。その地方でしか出版されていない文献や思わぬ掘り出し物に出会えるチャンスもある。

最近は若者の活字離れを聞いたり、スーツ姿のいい大人が地下鉄の中でふやけたツラでマンガ雑誌を読んでいたりするのを見ていると、鳥の本だけでなく、書籍全体の未来に対する大きな不安がよぎる。また新刊の本を扱う書店に行くと積まれている本の上に平然と自分の手荷物を置く、大馬鹿者を見たりする。それがまたいい大人だったりする。本の価値が解からない大人が増えてゆくのは悲しい。

ネット上で手軽にたくさんの情報を手に入れる事ができるようになったけれど、間違いなく自分の頭を使って、読んだ本の方が確実に自分のものになると思う。時間の許す限り、鳥の本と接していきたいし、もっと色々な事を知識として吸収できたらいいな、と。

支部報「カッコウ」2006年1月号より

今夜もポロトの森を滑空する小さな獣

ポロトの森を伝える自然観察教室一樹会(いちじゅかい)主宰
北海道アウトドア協会登録自然ガイド 鈴木克司

行ってみたい、歩いてみたい日本の100カ所「遊歩百選」に選ばれた、ポロトの森は、JR白老駅から約800mの所から始まり、周囲約4kmの湖を観ながらの周回散策コースは約7km、簡易舗装で整備されて上がり下りは急な所もなく散策路の途中には、ビジターセンターがあります。

このセンターから奥にある、もみじ平・望岳台への散策路も整備され、同じ道を折り返さなくても戻られるコースで変化に富んだ風景を楽しむ事が出来ます。

森には、キツツキの仲間を始め四季折々の小鳥達と、フクロウ・ダイサギ・オジロワシ等の大型の鳥達も観察できます。エゾシカ・タヌキ・エゾリスの他に最近はアライグマも確認しました。

ミズナラやクリの巨木もあり、散策路から木肌を触れます。初春のミズバショウから晩秋のヤマモミジの紅葉迄それぞれに楽しめ、この森に降った雨や雪を源泉とするウツナイ川にはイワナやヤマメが泳いでカワセミやヤマセミの姿も観られます。

一樹会の仲間たちは雪が降り始まると、ポロトの森に通う回数が一段と多くなります。

雪の上にポロポロと落として行った、エゾモモンガの食痕と糞探しです。これらが見つかると今度はその近くに巣穴が無いか探索です。雪の少ない白老ですが、スノーシューを覆いての探索は重労働です。

それでも物を探す事は楽しい一時で、巣穴らしいのを見つけると、地図に落とし込んで、今度は本物の巣穴なのか確認です。

この作業は、夕方から始まり、穴に近すぎず遠すぎずの所からモモンガが顔を出す迄の張り込みです。夕暮れも終わる頃に穴から顔を出してくれると参加者とガッツポーズですが、真っ暗になっても変化が無いと、皆無口になり寒さが一段と体にしみ込みますが、気を取り直して何日か通います。

3〜5日通って出て来ないと、地図の上にバツ印が入ります。この作業は4月中旬迄続けて行い、確実に生活している巣穴の地図を作ります。

この頃に成ると寒さも和らぎ、木の葉も少なく、ペアーを求めての行動半径も広がり、夜空を滑空するモモンガの姿を見る事が出来、観察には一番都合の良い季節です。

5月中頃迄は一つの巣穴に数匹が生活していますが、子育てが始まる5月末頃から、メスが巣穴を独占し育児に入ります。オスは他の穴を利用して生活して居る様で、時々巣穴の近くに来ています。

お盆過ぎには子供たちは追いかけっこや木から木へ飛ぶ練習の毎日ですが、フクロウやカラスに襲われるのもこの頃が多いです。

一樹会のモモンガ観察は5月末から9月末迄の育児期間は中止しています。

ポロトの森にもネイチャーガイドを自称する人が来て、堂々と「鳥と雀しか分からないので鳥の名前は聞かないで」と挨拶し、参加者が草花を千切ってもゴミを捨てても何も言わず、何故か数少ない花には蛍光色のテープを彼方こちらに付けたまま帰ります。

駅からこんなに近い所に大きな自然が残っている事は、大切な財産です。次の世代に渡す宝物の森を守るために、ぜひポロトの森に棲んでいる動物たちと巨木に会いに来て下さい。

支部報「カッコウ」2005年12月号より

ヘビを通して自然を観る

円山動物園 爬虫類館 本田直也

ここは円山動物園内のとある場所。
廃材や剪定された木々、落ち葉、ブロックなどが数箇所に分かれ積まれている。
ここは所謂「ゴミ置き場」。このような山に面した「人工物」はヘビの恰好の棲家となる。陽当たり良好、隠れ場多数、餌のネズミ達も多く集まってくる。繁殖や冬眠もこの場所で行い、大きな移動をすることもない。ここは年間を通して彼らの営みを存分に観察できる貴重な場所なのである。
今回はここで暮らすアオダイショウの1年を紹介していきたい。

4月中旬から下旬、最高気温15度を超える日が5日も続くと彼らの活動が始まる。
まだ個体数は少ないが、冬眠明けで動きは非常に鈍くヘビを最も間近で観察できる時である。
この時期は体温調節のため多くの時間を日光浴に費やしているため、午前午後問わず1日中観察することができる。

5月上旬に入ると個体数はピークに達し求愛行動も開始される。この時期、♀に対しての激しい追尾があちこちで観察される。
しかしこのような状態は相性やタイミングがあっていない証拠で、大抵は失敗に終わる。相性、タイミングが合えばこのような激しい追尾は見られず、交尾はいたって静かにスムーズに成立する。
交尾時間は数時間から長くて丸1日。この時期の♂はまさに必死、移動中の♂を多数観察できるがそのほとんどは痩せている。きっと餌も捕らずに♀探しにエネルギーを費やしているのだろう。「食い気より色気」そんな心境だろうか。

6月も中旬に入ると気温の上昇にともないヘビ達の行動にも変化が見られる。
♂は日中の暑い時間帯を避け朝方と夕方に活動するようになるが、♀は突如沸いてきたように日中日光浴に現れるのだ。これは腹に持った卵を温めるためで、また紫外線を多く浴びる事で卵殻の形成も促進させていると思われる。
日中に観察できるのは9割方♀でどの個体も胴が太く、また非常に警戒心が強くなっていることからも産卵が近いことが想像できる。

7月に入ると産卵が開始され、♀達は一斉に姿を消す。産卵場所は落ち葉と腐葉土が堆積した場所、陽当たりは悪いが発酵熱により温度と湿度は安定している。他種のヘビ達もここに集団で産卵していることから、よほど好条件なのであろう。
孵化は8月中旬から9月上旬にかけて起こる。この7、8月の暑い時期はヘビ達の活動も鈍り、活動時間は早朝のみになる事も多く日中はほとんど姿を見せない。
再び活動が活発になるのは9月に入ってからで、秋はエネルギーを貯め込む重要な時期である。

そして10月、ヘビ達は再び姿を見せなくなる。すでに彼らの生理は冬眠モードに切り替わっていて、この時期は捕食せずに排泄だけを行い消化器官の内容物を空にする。これは冬眠中に内容物が腐敗することを防ぐためで、安全な冬眠には不可欠な行為である。
そして11月、長い冬眠へと入っていく。冬眠中は体温、代謝ともに低下しているためエネルギーの消耗は少ない。それは冬眠明けの個体がそれほど痩せていないことからも推測できる。
そのことからも秋に貯めたエネルギーは「冬眠を乗り切るため」よりも「翌年の繁殖に向けて」の方がはるかに比重が大きいと思われる。

ヘビは効率良くエネルギーを貯め、それを利用して生きている。そこに無駄は一切ない。季節ごとに変化する行動や体型、またその時々の生理状態など、ヘビに限らず野生動物達はまさに自然環境の一部でありまた要素の一つであることを強く感じる。
生息地の中で長い年月をかけて進化適応してきた存在は、その環境の中でしか正しい生活サイクルを構築することはできない。

ヘビを通して学んだ数多くの事柄は飼育を生業とする著者にとってこの先も最も大切な宝となっていくであろう。いつまでもここのヘビ達が幸せに暮らせる環境が残って欲しい。
それが今の願いである。

支部報「カッコウ」2005年11月号より

森と私

藻岩南麓森を守る会事務局長 宮内幸雄

14歳まで、 西野幌の野幌原始林に接した農家で成長した私は、 この原始林が遊び場だったし、 眺めるのはいつも原始林、 ほんとうに豊かな森だったと思う。
直径2m以上も あろうかと思う大木があちこちにあり、 昼も暗い森だった。 雪が消えるとアイヌネギ、 ヤチブキ (母がそう呼んでいた)、 その次はタケノコ、 フキ、 6月になるとワラビ、 ゼンマイを採ったし、 秋にはブドウ、 コクワ、 シイタケ、 マイタケなどが採れた。
月明かりの夏の夜、 黒々と連なる原始林を眺めていると、 「ホー」 「ホー」 と鳴き交わす鳥の声が こだまし、 神秘的な雰囲気につつまれた思い出が焼きついている。 恐れたのは秋に出没する熊だけだった。
この原始林も戦中の乱伐で、 今は見る影も無い姿になってしまった。

太平洋戦争の始まった年から、 藻岩山の麓の学校に入り、 その寮で6年間過ごした。 夜から明け方に 「ピー」、 「ピー」 と透き通る声をこだまさせて鳴く寂しげな鳥の声が、 野幌原始林の森とふるさとの母を思い出させてくれた。
後に京都を旅し、 比叡山だったと思うが、 そこに住む鳥の剥製が展示してあり、 ボタンを押すとその声が聴けるように なっていた。 細いくちばしで、 数種類の色がまだらに見え、 細い体つきの妙な鳥がいると思って、 声を聴いたら ピー」、 「ピー」 と、 藻岩のあの鳥だった。 名前は 「トラツグミ」、 前々から知りたいと思っていた鳥の名だった。

勤務の関係で4〜5年札幌を離れたが、 その後の勤務地が藻岩山の麓だった。
ずーと藻岩の森を眺めて暮らしたら、 森から離れられなくなり、 自宅も藻岩山の南斜面に、 しかも森に接 した所に建て、 住んでから40年になろうとしている。
この森は原生林でなく、 半分はカラマツ、 トドマツの植林である。 昔の野幌原始林に比べ全く貧弱な森である。 石狩森林 管理署の施業管理計画図の区分によると、 「レクリェーションの森」 の内の 「自然観察教育林」 と記されている。 管理署の人にどういう意味ですかと訊いたら 「字の通りだ」 とのこと。 森としてはすばらしいものではないが、 ここに住んでいる人には宝の森だ。
住民に訊くと 「自然環境がよいからここに移ってきたんだ」 と応える。 空気がうまい、 冬の風がない、 小鳥がたくさんやって来る、 キツネ、 キジ、 リスが庭にまで来るなど、 目を輝かせて話してくれる。 森の中に小さな水溜まりがあり、 毎年カエルやエゾサンショウウオが卵を産む。 それを眺めていたら、 笹の陰からそーと子ギツネが水を飲みに来た。 尾 の先が白かったので、 妻と二人で 「オジロー」 と名づけたが、 その後 「オジロー」 を見かけることはない。 今年はルリ鳥を目にした。

ここに住んでいる有志で 「藻岩南麓森を守る会」 を作り、 森の散策路の笹刈をやってきた。
去年の台風18号でたくさんの木が倒され、 散策路が塞がれてしまった。 「森を守 る会」 は早速倒木を払って散策路の回復に取りかかったが、 ようやく3分の2ほど終わったところ。
森があれば森を愛さない人はいないでしょう。 「森を守る会」 の人は仲が好 いし、 思いやりも深い。 自弁で刈払い機やチェンソーを買い、 無償の作業に汗水を流す。
山や森は住みやすい町内を作り、 他人を思いやる人を養うのに役立っているのでしょうか。

支部報「カッコウ」2005年10月号より

楽しい漂着物拾い

襟裳岬「風の館」 石川慎也

私の暮らすえりも岬の東側には、百人浜という約10キロ続く砂浜があります。最近の私の楽しみは、この砂浜を犬の散歩もかねて歩くことです。というのは浜を歩いていると、不思議なもの、珍しいもの、面白いものに出会うからです。
それは、漂着物です。まだ、北海道ではあまり聞かれない言葉ですが、浜辺を歩いて、流れついているいろいろな物を拾ったり、観察したり、アート作品に活かしてみることを「ビーチコーミング(Beachcombing)」といいます。
海外や本州では海辺の新しい楽しみ方として注目を集めています。

ビーチコーミングと出会うまでは、海のすぐ側で暮らしているにもかかわらず、ほとんど浜辺で楽しむということはありませんでした。しかし今では、海が時化た後には、何をおいても朝一番に浜を歩きます。時化て荒れた後ほど、いろいろなものが流れつくからです。
私が集めている漂着物は、浮子などの漁業に使う道具やクジラ、アザラシや海鳥などの生物、そして外国からの漂着物です。今では珍しくなったガラス製の浮子は、ビーチコーミングを楽しむ人にとっては、お宝の一つです。
外国では、日本製のガラス浮子についてのビーチコーミングの本が何冊か出版されているほどです。小さなガラス浮子はまだ結構拾うことができますが、大きなものはめったに漂着することがありません。私はまだ一つしか拾ったことがありません。
一方で、ガラス浮子にかわりよく使用されている塩化ビニールやプラスチック製の黒やオレンジ色の浮子は多く流れ着きます。また、韓国、中国、台湾、ロシアといった外国製の浮子、ビン類や容器類も、たくさん漂着しています。
これらの漂着物は、海流に乗って国境をこえて流れてくるので、あらためて海には境界がないことを実感することができます。

さて、私が現在もっとも熱心に記録して集めているものが、クジラやアザラシなどの海獣類や海鳥に関する漂着物(死体がほとんどですが)です。彼らは、広い海で暮らしているので、生きた姿をめったに観察することはできませんが、浜に打ち上げられた漂着物からいろいろな情報を得る事ができます。
例えば、2003年8月19日に見つけたコアホウドリには、アメリカ製の足輪が付いていました。これを北海道海鳥センターに連絡して調べてもらうと、1997年5月29日にハワイ諸島のTern(アジサシ)島で足輪を付けた1,423羽の内の一羽ということがわかりました。ですから、このコアホウドリは、はるばるハワイから襟裳岬周辺まで旅をしてきたことがわかりました。
他にも、昨年の12月に漂着したクジラは、鯨類研究所の調査でハップスオウギハクジラというとても珍しいクジラということがわかりました。これまで、日本でわずか7例の漂着の記録しかなく、北海道からは初めての記録でした。
しかしこれらは、誰かが浜で見つけて記録しなければ、波により海へ戻るなど、またどこかへ流れて消えてしまいます。だからこそ、貴重なお宝(漂着物)との一期一会の出会いを求めて、また浜へと出かけるのです。
皆さんも、ぜひ近くの浜に出かけてみませんか。楽しい出会いがあるかもしれませんよ。

支部報「カッコウ」2005年8,9月号より

鳥自慢より道具自慢!!

八戸野鳥の会々員 久保 益男

私が鳥を見始めてから十四・五年位しか経っておりませんが、きっかけはある事件が始まりでした!?

それまでは海釣りを主にしておりましたが、魚釣りは「駄目」と言われ、釣りが駄目なら家の小さな庭に来るスズメやカラス(当時知っている名前)を見るだけなら良いだろうと思い、生来の新し物好きが、よい道具が大事!と日本野鳥の会に入会し、双眼鏡を買い求めましたのは素人の恐ろしさ!!。その後、近くの川で知らない人から「カワセミが入って?いますよ。」と云われて望遠鏡で見せてもらいました。世の中にこんな綺麗な鳥がいるのかなと感動しましたが、買って間もない双眼鏡では役不足と、新発売になったばかりのN社製の大口径の望遠鏡を手に入れたのが、鳥自慢より道具自慢の始まりでした。

一流の道具を揃えても、見る鳥、見る鳥、珍鳥に見えて困ったものでした。仲間に鳥の名前を聞くと「前にも教えたでしょ」と呆れられておりますが、進歩がないのは歳のせいと諦めておりますので、何を云われても休みには近くの山や川や海に出かけております。

その後、鳥仲間に、「カメラで野鳥を写している人は沢山おりますが、ビデオで野鳥を撮影している人はいないですよ。」とおだてられて、これも発売になったばかりのS社製のDVビデオカメラ一式を買い揃え、野鳥のビデオ撮影を始めましたが、ビデオカメラを買ったのも初めて、写真の経験も無い素人が、道具は一流、腕は五流?と試行錯誤の連続で撮影を続けておりました。撮影済みテープも二代目のカメラと合わせて百五十本以上となり、あまり見る価値のない映像ばかりですが、青森県内の小川原湖々沼群の中で繁殖が確認された、カンムリカイツブリの親子をブラインドの中から半日かけて撮影し、公共放送に持ち込みましたが、残念ながら『ボツ』になった懐かしい思い出もあります。

巣と卵と雛が写っているので放送できないとのことでした。蕪島のウミネコの卵や雛は毎年ニュースの素材になっているのにと、担当の方も困っておりましたが、貴重な資料なので東京に送って保存しますと云われ安心しました。

今年の十一月には、ラムサール条約の登録地に指定されるのは確実と云われているほど、豊富な自然が残っている仏沼や小川原湖々沼群は、八戸市から車で一時間位の三沢市北部の太平洋側に面しております。オオセッカの国内最大の繁殖地『仏沼』には、コジュリン、オオジュリン、オオヨシゴイ、カンムリカイツブリ、サンカノゴイ、シマクイナ、チューヒ、オオジシギ等その他沢山の野鳥や、カラカネイトトンボ、ハラビロトンボ等貴重な生物の自然がそのまま残っています。その仏沼を写真やビデオの定点撮影、花、木、虫など皆で手分けして記録を残そうという話になりましたが、これから残す映像はハイビジョン撮影でなければならないと説得され、おだてられて、なけなしの財産を売り払い三代目となるS社製のハイビジョンカメラを買いました。本当は買わされたと云った方が正しい日本語かも・・・・?

鳥より道具に振り回された十数年でしたが、前の二台のビデオカメラも、パソコンも使いこなさないうちに更なる高度なハイビジョンカメラと、これから待ち受ける、ハイビジョン対応のパソコンに益々振り回されるのは、人生の悲劇ではなく、喜劇の始まりです。

おかげで、今までのDVテープの映像はロッカーに押し込まれ、新たな第一歩からハイビジョンカメラで野鳥の撮影をしなければならない現実が待っておりますので、歳をとる暇がなくなりました。DVテープの映像の時よりは、少しでも良いハイビジョン映像を次の世代に残すためにも仲間の協力を得て、これからも野鳥たちと自然を撮影し続けていきたいと思っております。

尚、仏沼の環境保全活動、啓蒙活動、地域社会との共生を目的に『NPO法人 おおせっからんど』を立ち上げております。ホームページも開設しておりますのでご覧いただければ会員として嬉しく思います。

ホームページ http://www.oosekka.com/

支部報「カッコウ」2005年7月号より

自然の中を視覚障害者と共に

タートル会事務局 浦島邦子

「タートル会」が最初に「野鳥の会」にお世話になったのは何時であったのか?古い記録を調べてみましたが判かりませんでした。が、ほぼ半数の視覚障害者と共に西岡水源池をご案内して頂いたあと、日本では余りお目にかかることが出来ないであろう『アルプスホルン?』というのでしたか、わざわざ運んで来てくださった大きな楽器の演奏を聴き、何人かの障害者は触らせてもらったもした後、公園に近い方だったのでしょうか、会員の方が提供して下さった塩茹のじゃがいも塩辛添えをご馳走になり、その美味しさにお代わりをしたタートル会会員もいた様でした。それが最初の野鳥の会との出会いでしたでしょうか?

強い雨降りの時以外は、ほぼ毎年の様に6月第1日曜日には視覚障害者を同行してお世話になっております。一般参加の方達とは別行動にして頂いて水源池内を案内して下さり、鳥の囀りが聞こえないか?珍しい植物は何か無いか?木の実・樹皮は?と捜して、視覚障害者が耳で、指で感じる様に気を使って下さって、有意義な1日になるよう考えて何時も案内して下さり、有り難い事です。

足が弱くなって歩くのが大変になったと言って残念ながら最近『タートル会』を退会した会員だった女性は植物が好きで、必ずと言っていい程探鳥会には参加し、楽しんで植物に触れていた姿を思い出しております。

私は残念な事に囀りを聞き、色々と説明して頂いて、その時は記憶に留めた様な気になって街中に帰ってきて、今日囀りを聞かせてくれた鳥の名は?囀りはどんな声だったか?と思っても駄目ですねぇ、すっかり忘れて思い出せないのですからね。幾度参加しても一向に鳥の名はインプット出来ないでおりますね。それでもヨブスマソウ・キクザキイチゲ・ルイヨウボタン等々、随分沢山の野草の名を教えて下さいました。お陰で野幌森林公園ではザゼンソウ・キツリフネを見つけることが出来ましたし、クルマバソウは藻岩山登山口近く、小樽オタモイ岬近くの小山他あちこちで見つけることが出来るようになりました。

ですが、記憶する能力は充分過ぎる位に持っている筈の障害者会員も囀りとなると別なのでしょうか、『野鳥の会』の成績の良い生徒にはなれないでいる様です。

最近は障害者も国内はもとより韓国・中国・ハワイへ行くのは常識で、世界を股に掛けて旅行づいておりますので、「タートル会」行事への参加者が増えているとは思われませんし、目的地が新しい処ですと参加者が増えるという状態です。

何時も行っている西岡水源池でも、水辺には今年もカモが来ているか、どんな野草がはえて、渡りの途中で羽を休めてくれた囀りが何種類聴けたか等楽しんで歩いて欲しいと思うのが企画する者の願いです。

日本野鳥の会札幌支部の皆様は私達に野鳥を、野草を紹介してくださるばかりではなく、自然の保護等にも努力されていることと推察しております。会員の方それぞれが日常の仕事の傍ら会運営に努力されていらっしゃるには並大抵のご努力ではないと思います。行事を何時までも続けることが出来ますよう、皆様が健康でありますよう祈念しております。

支部報「カッコウ」2005年6月号より

風力発電とバードストライク

〜エコロジーブームのデメリット〜

ニムオロ自然研究会事務局長 高田令子

世界中で地球温暖化が深刻な影響を見せ始め、エコロジーブームに拍車がかかっています。石油などの化石燃料を海外からの輸入に頼っている日本にとって、エネルギーの生産方法は最も大きな課題です。そんな中、注目されているのが風力発電。四方を海に囲まれた島国である日本にとって「風」は自然界に無限に存在する有力なエネルギー源と言えます。地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素などを排出しないことも評価に値するでしょう。一見いい事だらけと思える風力発電ですが、メリットの裏側にはかならずデメリットが存在するものです。

そのデメリットの一つに鳥類への影響が挙げられます。鳥類が風力発電用の風車に衝突して死傷するバードストライクの発生が懸念されており、すでに日本でもその事故の発生が確認されています。日本は、渡り鳥にとって移動の際の重要な通り道となっています。渡り鳥は、その小さな体で信じられないほどの長距離を飛行するために、風のエネルギーを利用します。勿論、風力発電用の風車も良い風の吹く場所に設置されるので、バードストライクの発生は想像に難しくありません。

では、俊敏な動きができる鳥類が、そう簡単に風車に衝突するものなのでしょうか。皆さんは、風車を間近で見たことがありますか。風車のプロペラは、中心部分を見る限りではとてもゆっくりと回転しているように見えます。しかし、一片の長さが20〜30mにもなるプロペラの先端部分の回転速度は想像以上に速く、時に時速数百キロにもなるのです。それでも、鳥たちにその風車の存在は見えているでしょう。でも、夜間や、霧や吹雪で視界が悪い時、突然の突風でバランスを崩す、捕食者に狙われるなど注意力が散漫する、飛行経験の浅い若い鳥などの場合では、バードストライク発生の確率が高まるのではないかと考えています。考えられる影響は他にもありますが、真意の解明やその回避方法は無いに等しいのが日本の現状です。

現在、風力発電の建設に際しては、その改変面積の少なさから環境影響調査の実施は義務付けされていません。自主的に環境調査を実施する業者は増えていますが、日本では、その調査方法や評価方法が確立されていないため、ほとんどの計画が「影響なし」と判断されています。国は、京都議定書の発効に伴う風力発電施設の増設を推し進める前に、国内における影響の実態把握や、調査・研究を組織的に実行し、影響回避に有効な法整備をするべきだったのではないかと思います。

クリーンというイメージの裏側で、多くの生き物が影響を受けているとしたら、これはエコロジーの精神に反するものです。「エコ」が人間勝手な「エゴ」にならぬよう、今、意識を正す必要があるのではないでしょうか。

私は、風力発電自体を否定するつもりはありません。「風」を利用する発想は支持していきたいと思っています。しかし、巨大化が進むプロペラ方式だけが風力発電ではありません。もっと発電効率も良く、環境や生物にも優しい風力発電の方法があるはずと信じています。

風車にぶつかって死んだオジロワシの写真
バードストライクに遭ったオジロワシ

支部報「カッコウ」2005年4月号より