秋深し、今日この頃
夕方に大学へ向かうと、歩道沿いの雑木林から鳥の声が聞こえた。自転車を止めてそちらを見ると、ヤマガラやシジュウカラの混群が、木々の間を飛んでいた。
最近とみに寒くなり、この辺りはすっかり秋の装いだ。大学に隣接する野幌森林公園も、鮮やかに色づき、林内を歩くと思わずウキウキしてしまう。昨年ここらの木の実は不作だったが、今年はなかなかの豊作のようだ。
その雑木林も、ヤマブドウがたわわに実っていた。だが、ここでちょっと気になるのが鳥たちの食欲である。幼い頃から、ヤマブドウは初霜が降りてからが美味しいと、そう聞いてならってきたのだが、果たして今年は初霜まで残しておいてくれるのか…。「取っておいてね!」と心の中で思いつつ横目に見つつの通学が、ここ最近の日課である。
日頃から、身近なところに鳥たちがいる。早朝は野幌森林公園から声が聞こえ、大学敷地内のデントコーン畑は、すでに刈り終えてムクドリたちの食餌場所となっている。そう言えば、あと何日もしない内に、寒空からマガンやハクチョウたちの渡りの声がするだろう。
当り前のように、日々自然を肌に感じているが、実はその「自然」の定義が難しいと、最近強く思う事があった。
今年に入ってから、ゼミの先輩方の調査手伝いとして、また、大学が洞爺湖町と協定を結んだこともあり、頻繁に洞爺湖町を訪れている。今は鋭意、中島のエゾシカや土壌、洞爺湖の水質、特定外来生物のウチダザリガニなど、様々な分野に関する調査・研究が行われている。個人的にも、中島のシカ事情に非常に興味がある。中島では外から持ち込まれたシカが増えすぎ、植物が片っ端から食害を受けている。しかし美味しくないのだろうか、ハンゴンソウやフッキソウ、フタリシズカ等だけが残され、同じ種類ばかりが繁茂する、奇妙な植生が広がっている。その様な変化があれば、もちろん他の昆虫類や鳥類にも偏りが生じる訳で…こういった調査・研究も行われている。全国各地、世界遺産の知床でさえ問題となっている「増えすぎたシカ問題」について、私自身も何らかの形で携わりたいと思っている。
前後したが、さて、ここで本当の「自然」とは?と考えさせられた出来事をば。
先日、洞爺湖町の小学校の先生と話す機会があったのだが、中島でシカを見た子供たちは、『凄いね大きいね、自然が豊かだね』といった反応をすると伺った。
でも、ちょっと待ってほしい。今の中島の状態は、決して「自然」ではない。シカは人為的に入れられたものであるし、孤立した島内では餌が不足し、体のサイズは知床や道東のシカと比べ見るからに小さい。森の中の植物も、食べ残された一部の種類しか生育していない。これをただ、自然だと観賞して良いものか。
こういった状況で必要なのは、それを教える人達の存在だろう。いわゆる環境教育ということだが、それは子供たちへだけでなく、地元の大人の方へも、現状の説明や普及啓発が重要だと言えるだろう。いずれは私も、中島の自然を守るべく、そういった活動へも協力していきたい。幼い頃、西岡公園に通い、様々な自然の素晴らしさを教えて頂いたように…。
何はともあれ、今後の酪農学園大学の研究、調査の続報に乞うご期待!
支部報「カッコウ」2009年11月号より





