変わりゆく風蓮湖・春国岱
3月末、本州生まれの私には、とても春が来たとは思えない寒さの中、フクジュソウの花が春の訪れを教えてくれ、氷が緩んだ風蓮湖に釧路方面からタンチョウが戻ってきました。
タンチョウたちは、風蓮湖に戻ってしばらくの間、なわばりを主張せず、同じ場所を数羽が利用したりしますが、そんなのんびりとした様子を見せてくれるのも束の間、ペア毎になわばり争奪戦が始まります。ここ数年、春国岱ネイチャーセンターから見える湿原をなわばりにしたい若いオスのペアが、古参のペアに挑んでいるのですが、昨年は血を流すほどの争いの結果追い出されてしまいました。今年は、いの一番に春国岱に戻ってきて、なわばりの確保に余念がありませんでした。そのおかげか、ねらっていた場所を確保することが出来たようです。風蓮湖・春国岱周辺の湿原の多くは、以前から住んでいるペアが元の場所に戻ってくることが多かったのですが、最近は、若いペアがなわばりを求め古参のペアに挑戦する姿が増えているように思えます。長年続けられた保護活動の結果、1000羽を超えるタンチョウが道東で暮らすようになり、新しいペアが自分のなわばりを求めて争ったり分布を広げたりという時期を迎えたようです。
夏の間、タンチョウをはじめ、オジロワシやクマゲラ、ノゴマなど多くの野鳥の繁殖地となる風蓮湖・春国岱は、最も古い砂丘が堆積し始めてから3000年もの年月が経っているといわれています。長い年月をかけて植生遷移が進み、森が形成されてきましたが、近年、砂の流亡や地盤沈下の影響で、森から草原へと変わる退行遷移が進んでいるといわれています。年に数回は、高潮などの際に、第一砂丘を越えて海水が流れ込みます。第一砂丘の低い部分が水没し、観察路の木道がかろうじて水面から顔を出すぐらいの高さまで水が上がります。高台にあるネイチャーセンターから見ると第二砂丘の湿地を越えて第三砂丘の森の際まで海水が入っている様子が見られ、驚かされます。第二砂丘の森は、2006年の爆弾低気圧のため木が倒れた上、海水の進入も影響し、ここ数年急激に立ち枯れが進み、世界で2例しかないと言われている砂丘上のアカエゾマツの純林も立ち枯れが進んでいます。
12月の下旬、風蓮湖や春国岱周辺の浅瀬が凍り始めます。10月下旬から羽を休めに飛来していたオオハクチョウたちが水面の減少とともに移動をしていきます。風蓮湖の氷が厚くなりスノーモービルで走れるようになると、冬の風物詩「氷下待ち網漁」が始まります。これに合わせて知床や野付半島方面から多くのオオワシ、オジロワシが風蓮湖に飛来します。漁師さんが氷上に捨てていく雑魚を狙って集まる姿が有名ですが、近年、暖冬で2週間ほどしか漁ができなかった年もあるなど、昔より漁期が短い年が多くなっています。
様々な変化が見られる風蓮湖・春国岱。自然の流れだけではなく、人の活動も大きく影響を及ぼしています。漁場として、豊かな生態系として、どうしたら自然を保全できるか色々な視点から考える必要が出てきています。
支部報「カッコウ」2011年8,9月号より




