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Sapporo Chapter of Wild Bird Society of Japan

冬に昆虫参上?

丸瀬布昆虫生態館 喜田和孝

違う分野に目を向けてみる、というのはよく言われるとおり難しいもので、いわゆる虫屋の僕はいつまでたっても覚えた鳥の名前はちょっとだけ。
冬になるたび双眼鏡を窓辺に置き、春になるとあきらめる、ということを毎年繰り返しています。

昆虫はというと、冬もいますよね?真っ白な銀世界では、普段気にも留めないような小さな生き物もとても目立って見えます。
ユスリカやカワゲラなど、小さいながらも黒い色をして目立つものがまず目に入ってくるでしょう。
もっとよく見るとトビムシといううんと小さな虫たちも結構いるでしょう?
そんな中で最近観察会などでも紹介されるようになったメジャー昆虫?がクモガタガガンボです。

小雪が降るぐらいのときに少し野山を散歩してみると、毛むくじゃらで長い足の茶色い虫が歩いています。
これがその虫で、羽を退化させた「いかにも怪しい」姿と、雪の上を歩く謎だらけの暮らしぶりが好奇心をくすぐります。
よく見ると後足の腿がぶっとくてお尻に短くてごついはさみを持っているもの、すべての足がほっそりしていてお尻の先がとんがったものがいます。
これはお察しのとおりオスとメスで、お尻の先は交尾と産卵用とすぐわかりますが、太い足は?
オス同士の戦いのためといわれますが、いったいどうやって?
確かに何匹かケースに入れるとときどきからみあっていたり、野外でも足の数が足りないものを見かけるので、冬とはいえ熱いバトルが繰り広げられているのでしょう。

手にとって詳しく見ると、頭が小さく口も見えません。
冬に出てくるほかの虫と同じく、どうやら何も口にせずに歩いているようです。
でも気をつけて!あまり手に乗せていると、暑くて死んでしまいます。
彼らの適温は−10℃から10℃までと極めて狭いそうで、逆にシバレた朝にも凍死したらしい死体も見かけます。
なぜそうまでしてわざわざ冬に、しかも目立つ雪の上を歩くのかは謎に満ちています。
ヨーロッパのある種類ではネズミの巣穴に入り込んで卵を産み、幼虫は巣の下の汚物?を食べてすぐ大きくなり、土にもぐって次の冬をひたすら待つのだとか。
ためしに冷蔵庫で飼ってみると、ばらばらとばら撒かれた卵はすぐ孵り、線虫のような幼虫が1月ほどでみるみる大きくなりました。
しかもすべて冷蔵庫の中で!お気づきでないかもしれませんが、変温動物の昆虫はたとえ北海道のものでも10℃以下になると発育できなくなりますから、これは驚異的な能力なのです。

冬の自然観察は面白い。とは口々に言ってみるものの、やはり夏に比べると生き物の数は少なく、条件はもちろん厳しいんですから、ちょっと一工夫欲しいところ。
僕らも冬の観察会にはほんの少し鳥や木も見て間を持たせます。
冬は異分野に目を向けるチャンスなのかもしれません。
といっても、僕らだって数少ない冬の虫ですら種類まではわからないのですけれど。

クモガタガガンボの一種(オス)の写真

支部報「カッコウ」2007年2月号より

八戸航路探鳥会に参加して

日本野鳥の会大阪支部 納家(なや) 仁(ひとし)

札幌支部のホームページを見て「八戸航路一泊探鳥会」の案内が目に留まりました。
3連休を利用した北海道への旅行の途中に、土曜日の夜のフェリーを利用して八戸にわたり、復路(八戸~苫小牧)の探鳥にのみ参加することにしました。
デッキで出会った札幌支部の皆さんに挨拶をし、大阪支部の会員であること、北の航路での海鳥観察は初めてであることなどを話し、探鳥会に参加させていただくことになりました。
空は晴れ、海も穏やかで、心地よい船出です。

船が港から出てしばらく、「ウトウ!」の声、近くに浮かぶウトウをゲットし、幸先の良いスタートです。

(時間毎の主な鳥の出現状況)

9時台 ウトウ、トウゾクカモメ、オオミズナギドリの群れ

10時台 トウゾクカモメ、クロアシアホウドリ、フルマカモメ

11時台 オオトウゾクカモメ1、アカアシミズナギドリ1、クロアシアホウドリ

12時台 鳥影しばらく途絶える 寝不足がこたえ、デッキでうとうと

13時台 クロアシアホウドリ、コアホウドリ

14時台 ハシボソミズナギドリの群れ、エトピリカ若鳥1、クロアシアホウドリ

12時台に、少し鳥の出ない時間があった以外は、退屈することなく鳥が現れてくれました。

苫小牧港に近づく15時頃から、船は霧に包まれて、鳥の姿は全く見られなくなりましたが、北の海を行くという趣があり、違った海の表情を楽しむことができました。

今回の航路では、クロアシアホウドリとコアホウドリ、フルマカモメの3種はしっかり見たいと思っての参加でしたが、それに加えてウトウやオオトウゾクカモメやアカアシミズナギドリも初めて見ることができ、初の航路探鳥としては、十分満足のいく結果でした。

特にクロアシアホウドリの波間を悠然と駆ける美しい飛翔が目に焼きつきました。
クロアシアホウドリが航路中、多く出現したのに比べ、コアホウドリの数は少なく、残念ながらその目つきの悪さが分かるほど近くで見ることができませんでした。

ハイイロミズナギドリ、ハイイロヒレアシシギ、ハイイロウミツバメのハイイロ3種は、望遠鏡の視野に捉えたものの、遠すぎて十分な観察ができなかったため、文字通り灰色で白黒つけられずライフリストには加えることはできず。
またクロトウゾクカモメとツノメドリは姿を捉えることすらできず・・・。いつになるか分からない次の機会に再挑戦したいと思います。

また海鳥だけでなく、カマイルカやマンボウなども、姿を見せてくれ大いに楽しませてくれました。
札幌支部の皆さんとの交流とたくさんの海鳥との出会い、楽しい旅の思い出ができました。
本当にありがとうございました。

支部報「カッコウ」2007年1月号より

野鳥さえずり録音

花田 行博

日本の野鳥録音家で有名な人は蒲谷鶴彦さん、上田秀雄さん、織田敏雄さんがいる。
いずれもこの方とは面識があり、会うと鳥の話でいつの間にか時間が過ぎてしまう。
特に織田さんとは同じ支部会員であり、よく電話で鳥のことを聞いたり、情報を教えてもらったり、ときには酒を酌み交わしながら鳥談義をする。
私はここ何年もギンザンマシコとカワガラスの冬のさえずりを追っかけている。ギンザンマシコの冬の鳴き声は「ヒュルリン、ヒュルリン」と澄み切ったきれいな声で夏のさえずりとは違う。
カワガラスについては厳冬期の1月、2月、3月にしかさえずらないのだと思っていた。しかし4月5月の暖かくなってからでもさえずるとの情報も得ていた。
また11月、12月になればさえずるとの話も聞いた。「二兎追う者は一兎も得ず」のことわざ通り、一冬にギンザンマシコとカワガラス両方を追うのは不可能とわかった。
まだ働いている身である以上休日しか録音することができない。たとえ休日であっても風が吹いたり、吹雪であったら録音はダメである。
そんな思いから今年は、冬はカワガラス、夏はギンザンマシコの録音と決めそれらが録れたら次へ進めることにした。

私は足が衰えない元気な内に、多くの山を登りどこの山にはどんな鳥がいたか声で記録に残したく今年は6月7月の二ヶ月間に8回大雪山系の山に登った。
特に登りやすい旭岳には3回行った。行ったといっても、ロープウエイで登るため、たいした体力消耗にはならない。

7月初旬、旭岳姿見の駅から約2キロ裾野平ら方面に歩いたところにギンザンマシコを見つけた。
そのさえずりを録音したがギンザンマシコの口のパクパクがまったく合っていない。
見つけたギンザンマシコではなく違うギンザンマシコがさえずっているのかも知れない。それにしてもノビタキのようなさえずりだなとの印象であった。
とにかく録音成功である。録音したときギンザンマシコの口のパクパクが合っていないので間違いなくギンザンマシコのさえずりかか不安であった。

大雪山でギンザンマシコに標識調査をしている旭川の磯さんにこの声を聞いてもらった。磯さん曰く「この声はギンザンマシコではない」。ええ何の声。
札幌の織田さんにも聞いてもらった。もしかしたらギンザンマシコのメスの声かも知れないよ。いずれにしても帰ってからゆっくりと聞きますとのこと。
私は織田さんからの結果を聞いてから連絡すればいいものを、さっそく磯さんに電話でギンザンマシコのメスかも知れないよと伝えた。
磯さんはヨーロッパとアメリカのギンザンマシコの声を引っ張り出しそれをソナグラムにかけ検証して下された。電話で「似ている声の部分は少しあるね、やっぱりギンザンマシコのメスなのだろうか?」
それから2日後、織田さんから「ノビタキではないだろうか。ノビタキにすごく似ている」との連絡があった。
そういえばずいぶんノビタキの声に似たさえずりのギンザンマシコがいるもんだと思ったことが思い出された。また磯さんに電話する。
数日後、磯さんからの電話で「ノビタキのソナグラムにかけたところまったく一致した」との連絡があった。
最初からこんな高山にノビタキは居ないとの思いこみからはじまり、口のパクパクとは合っていないが、そばにギンザンマシコのオスがいた事からの誤解の始まりであった。
それにしてもこの声をノビタキと判定した織田さんはすごい人だ。
この声が平地の草原で録られていれば私でもノビタキと判定できたかも知れない。しかし録った場所がハイ松帯で、草原はわずかにしか見あたらない場所である。
織田さんにすごい耳を持っているねと話したところ、いや俺よりまだすごい人がいたよ。もう亡くなったがどんな声でも聞いただけで鳥の種類をわかった人がいたと聞かされた。
それも日本の鳥ばかりでなく世界中の鳥だとのことだった。世の中にそんな人がいたんだ。上には上がいるんだ。つくづくそんな思いをした次第である。

支部報「カッコウ」2006年12月号より

渡り鳥を追って思うこと

ながぬまおっ鳥くらぶ  諸橋 仁美

初めてウトナイ湖サンクチュアリに泊まりこんだのは、3月の渡り鳥と学生ボランティアで賑やかな頃だった。鳥を見始めたばかりだった私は、黒いかたまりにしか見えないマガンの群れを数えているお兄さん(今思えば大畑さんだったかも)は神業の持ち主としか思えなかった。それでも先輩ボランティアのあとをくっついているうちに刷り込まれてしまったのか、漫然と鳥を見るよりテーマを決めたほうが楽しいに違いない、ハクチョウかガンのどちらかにしよう、としばらく考えてガンに決めた。なぜあんな地味なほうを選んだのか、今でもよくわからない。

私の住む長沼町はウトナイ湖と宮島沼のちょうど中間点にあって、マガンとオオヒシクイの両方がやってくる。が、当時詳しいことはほとんどわかっていなかった。そこでさっそく地図を買ってきてウトナイで教わった「分布記録」を始めることにした。これなら一人でもできそうだ。ところが相手は羽が生えているのだから追いきれるわけがない。マガンは1週間ほどで宮島沼方面へ移ってしまう。飛んでいった群れがどこをねぐらにしているかも気になる。走った町は千歳川、夕張川流域の4市4町に及んだが、確かめたいことがあってもまた来年、といった調子で10年たってしまった。しかし10年追っかけたところで、得られるのは「点」の情報でしかない。渡りという「線?面」の動きを知るには、結局自分一人でできることなどたかが知れているのだ。考えてみれば当たりまえの話だが。

仲間が欲しくてはじめに相談したのが、所属していた栗山町おっ鳥クラブだった。ねぐら調査は早朝4時半起床、外はまだ氷点下だというのに、反対する人もおらず拍子抜けしたのを覚えている。皆渡り鳥を身近に思っているからだろう。おかげでオオヒシクイが夕張川をねぐらにしていることや、長都沼をねぐらにするマガンは夕張川流域まで出かけていることがつかめた。夕張川がガンの中継地にもなっていることは、臨機応変に動ける地元人が調べていなければ知られずに終わっていたかもしれない。一人での調査は確かに気楽だし密かな楽しみめいたものもあったが、皆と一緒になにかを成し遂げたときの達成感や手応えは、感じることはなかった。おっ鳥クラブには、渡り鳥のまた違った楽しみかたを教わったと思っている。

昨年から宮島沼の会の呼びかけで、鵡川から深川方面におよぶ「マガンフライウェイ調査」が行われている。ネイチャー研究会in鵡川、ウトナイ湖サンクチュアリ、おっ鳥クラブも協力し多くのボランティアが調査にあたっている。いったい何人が田んぼを駆け回っているのか知らないが、今年は秋の調査も実施中で、前例がないだけに結果が楽しみだ。

渡りのルート上に町があるからには、これからも渡り鳥はやってくるだろう。最近長都沼の水位低下や食害が問題とされているが、その問題点も十分整理されないうちに感情論が先走って「渡り鳥=食害」のイメージが定着してしまったように感じる。食害の実態はともあれ、彼らを拒絶したところでもうほかに行き場はないのだし、別の誰かにしわ寄せが行くだけかもしれない。人間が知恵を合わせれば彼らと共存していくことは可能だと思っているし、そうしなければならないだろう。フライウェイ調査が新たなヒントを与えてくれることを期待しながら、南下するガンの群れを見送っている。

支部報「カッコウ」2006年11月号より

ウトナイを離れて、加賀、豊田と渡り歩く

豊田市自然観察の森 所長 大畑孝二(日本野鳥の会レンジャー)

1995年にウトナイ湖サンクチュアリを離れて12年が経ちます。札幌支部の皆様には大変お世話になりました。そして、猿子さんから電話をいただき、大変懐かしく思いながら筆を取っているしだいです。

片野鴨池で

ウトナイの次は、石川県加賀市にある加賀市鴨池観察館に転勤となりました。ここは、片野鴨池と呼ばれ面積は10haと大変狭いですがラムサール登録地でもある日本有数のガン、カモ類の越冬地です。

しかし、カモ類の飛来数が減少し大きな課題となっていました。そこで、まずカモ類が好む水田環境を残していくため、農家の協力で休耕田の耕作を「鴨池たんぼクラブ」と言うボランティアグループで立ち上げて始めました。

次に取り組んだのが、カモ類の餌場である鴨池の外の水田に水を張ることでした。お付き合いのあった農家の方が冬期に水張りをしてくださったのですがその結果多くのカモ類が夜、水田に入ることが分かり、1997年からは石川県を通して環境省からの調査費をつけていただき、カモ類の好む水田、飛来数の把握などの調査をはじめました。こうした活動をまとめたのが「これがカモ!カモなんでも図鑑」(大日本図書)です。

豊田市自然観察の森で

2003年から愛知県の豊田市自然観察の森の勤務となりました。ここは、今までと違って都市近郊の里山環境です。オオタカが舞い、キビタキが囀るなど身近な自然環境です。この年から日本野鳥の会が豊田市の委託を受けてレンジャーが配置され、今年からは指定管理者として6人のスタッフ全員が野鳥の会のレンジャーとなりました。自然観察の森は、約30ヘクタールありますが、市は、観察の森を含め約200ヘクタールの里山環境を保全するために地主との賃貸契約で土地の確保を始めています。

東海地方の湿地

愛知県には、ラムサール登録地でシギやチドリが多く飛来する藤前干潟や面積は非常に狭いですがシデコブシ、シラタマホシクサなど世界にもこの地域にしかない植物がいくつか生えている東海地方固有の湿地があります。ただし、どんどん開発などで消失しています。

そこで今、「日本の重要湿地500」に入っている「豊田市周辺中間湿地群」をラムサール登録地にすることを豊田市に提案しているところです。

機会がありましたらぜひおいで下さい。遠くいていけないという方は、HP「豊田市自然観察の森」をご覧下さい。

支部報「カッコウ」2006年10月号より

ニセコでフィールドツアー

ニセコのペンションカントリーイン ミルキーハウス 西尾康裕

ニセコに住んで、はや30年近く、ニセコアンヌプリを、毎日見上げるような山麓で、ペンションを営業しています。毎日のお客さんの食事に追われて、目の回る日々。お客様には、「カントリーライフを味わってください」と、謳うものの、あっと言う間に1年が過ぎ去っていきます。この辺は、ご存じ豪雪地帯。10月中旬に初雪、根雪は、11月半ば、半年間は雪に覆われ、やっと5月半ばに雪が解けて、10月上旬には、紅葉のピークを迎えます。せわしない無雪期の気候の移り変わり、初夏と初秋の間が、半月ぐらいの時だってあります。こうした自然に囲まれた標高400mの国定公園に暮らしていると、教えられる事もあるものです。

ここに長年住んでいたら、周りの自然に触発されるのも当然のこと、テレビドラマの俳優を覚えるように季節を追って、野山の木や草を覚えてきました。初めは、植物図鑑と首っ引きだけど、なかなか解らず、すべてが、新種発見の連続。植物の花が見えなくって、名前がわからず、長い間、歯がゆい思いをしたりしました。「野の花って、こんなに小さいの?」って、道に寝ころんで写真撮影していました。

この辺の植物は、花で、200種類、木で20種類とか言われています。その解説・ガイドは、とても荷が重いですが、その植物を生活に取り入れて楽しんでいます。宿根草のガーデニング、館内や食卓に花を飾ったり、食事の彩りに、お皿の料理に、花や葉っぱを、飾りつけたりして。

春は、4月末の、ふきのとう、ヤチブキ、福寿草から始まって、10月紅葉した、木の葉を集めてくるまで、、外にあっても風景のなかで、視線が届かないような小さな花も、室内に飾ったり、お皿のなかで、あしらえば、とたんにスポットライトを浴びて、旬の季節感を主張します。以前、オーストラリア人のスタッフが、「食事の皿のなかに、花や、葉っぱをあしらうのは、初めての事で、ちょっと抵抗があったけど、やってみればNICEな体験だね」とか言っていました。やっぱり日本人は、自然との共存感覚が、自然な感覚かな?紫式部や、清少納言の、「イト、オカシ」とか、利休の「茶の湯」のワールドが自分に宿っているの感じます。色と素材、季節感とか考えながら、「あずましい」とか、「あずましくない」とか思いながら、花や葉っぱの、取り合わせをアレンジしていきます。

初めの頃、ガイドブック片手に、ウオッチング。梅沢さんのガイドブックで、花の色別検索。見あたらない植物は、すべて新種発見!という事になっていました。その後、芽立ちから、成育中、花の開花後、種をつける時期と、順次姿を変えていくことを知りました。それらを鑑定するには、インターネットを利用するのが、一番。web検索は、花にぴったりの相性です。さらに、コピー&ペーストで、自分だけに使う、『MY図鑑』ずくりがお勧め。北海道以外の各地の情報も手に入ります。軽井沢で、ベランダのバードテーブルに、インターネットに接続したライブカメラをセットして、1日中、えさ台に、やってくる野鳥を撮影するサイトを見つけました。ベストショットをサーチして、いい画像だけを集めた、いろんな野鳥の写真満載で、IT技術の工夫に感心しました。

札幌の方を中心とした、ニセコの自然観察のツアーをもう35回も23年にわたって、続けています。ニセコの山域をトレッキングして、自然観察をおこなっています。自然のなかで、生活する事に喜びを感じる人が広がっていくことは、私たちにとっても嬉しい事です。バードウオッチングしかり、植物のウオッチングしかり、つぶさに見て、識る事で、同じ生き物としての、共存意識、厳しい環境のなかで生き抜くしたたかさを感じます。今の現代文明とは、、自然と人間との対決の上に築かれた産業文明です。自然への思いは、現代人の一つの感覚で、自然な要求です。この文明のなかで、もがく人間は、小さい、生き物、静かな生き物に惹かれて、心のよりどころを求めていくのかもしれません。

支部報「カッコウ」2006年8月号より

鳥・昆虫・自然

坑井データサービス代表 木野田 君公

昨年末、札幌支部野鳥の会に入会した新入生ですが、「札幌の昆虫」という図鑑を発行したためか早くもリレーエッセイが回って来てしまいました。入会後、2回観察会に出席しましたが、講師の方々からは楽しく貴重なお話しをお聞きでき、またご出席の方々も鳥好きの方ばかりで、一緒にいると鳥を発見したときの興奮や野鳥観察の楽しみが伝わってきます。さて、ここでは鳥・昆虫・自然ということで書いてみます。

オナガバチ

森の中を歩いていると、立枯れの太い幹にたくさんのオナガバチ(ヒメバチ)の仲間が集まっている姿(写真はオスの集団)を目にすることがあります。多くはオスで、時々メスが長い産卵管を木に突き刺して産卵しています(産卵後、針のような産卵管が抜けなくなったり、抜くときに途中で折れてしまうこともよくあります。写真の中央部に針のような産卵管が折れて木に突き刺さっているのがみえます)。オスはメスと交尾しようと集まって来ます。ヒメバチは、どうして枯れた木がわかるのでしょう。おそらく何らかの臭いで引き寄せられるのだと思います。産卵管が長いオナガバチの仲間は、枯れた木の中にいるカミキリムシやキバチなどの幼虫を目掛けて産卵し、その幼虫を食べて育ちます。よくもまあ木の外側から中にいるカミキリムシの幼虫の居場所がわかるものです。

さて、鳥ではキツツキの仲間も同様に、木の中のカミキリムシの幼虫などを食べます。鳥の場合は、外見で枯木を判断するのでしょうか。また、枯木を突付いて反射した振動を感知することで、中の空洞の状況とカミキリの居場所がわかるのでしょうか。

ツバメは巣立つまでに約20万匹もの昆虫を食べ、アカゲラは1日におよそ60匹、200日で約1万2000匹のカミキリムシの幼虫を食べ、シジュウカラでは巣立つまでの2週間ほどで推定10万匹以上の虫を食べると言われています。私は図鑑作りのために、この数年でかなりの数の昆虫を採集しましたが、到底鳥の足元にも及びません。カミキリムシの幼虫だって、これまでやっと数匹をみつけただけです。いったい鳥には、自然や昆虫がどのように見えているのでしょう。鳥にとって、虫は生きるための食料なので昆虫を捕まえるということは、当然のことなのでしょうが、それでもその能力はすばらしいものです。あっという間にくちばし一杯に、また、くちばしいっぱいの虫を落とさずに次の虫を捕らえるという神業もやってのけます。彼らの採集能力に対して、現代人の我々には野生の勘なるものが足りないのでしょう。森林にすんでいた頃の原始の人間なら、もっとよく自然をみて感じ理解していたことでしょう。またこの様にたくさんの昆虫を食べる森林の鳥たちは、森林生態系の中で害虫に対する天敵として、また、樹木の種子分散者として重要な働きをしていますが、たくさんの小動物を食べる鳥がどの程度生息しているかということは、森の豊かさの指標にもなります。将来に渡って、(餌付けせずに)たくさんの鳥を観察できる地球であって欲しいものです。

支部報「カッコウ」2006年7月号より

初心にかえって

日本野鳥の会札幌支部 幹事 東谷里美

野鳥の会に入って何年になるのかな?と資料を見ると13年とのこと。月日が流れるのは早いのか遅いのか。入会の数年前から色々な偶然が重なり、自然と親しむ日々(というほどの日数ではないが)を過ごしていました。たとえば成人学校、たとえばタートル会(札幌視力障害者歩くスキー愛好会)。でも、どちらも積極的に参加していたわけではありません。成人学校の場合はほかの講座を申し込みに出かけたが、どうも人気が高く受けられそうにない。じゃあほかに入れそうで私が興味を持てそうな講座は?と回りをうかがうと自然関係の講座(けしてバスで出かける野外授業がいいと思ったわけではありません)だったし、タートル会の場合は当時からしているボランティア活動の知人から「人手が足りないから」と誘われた厚田へのハイキングでした。それも確か、「厚田へ行くのだけれど、日曜日は空いてる?」くらいの誘いであった。どちらも仲間に恵まれているのか、私の性格に合っているのか、その後も続けていたりして(成人学校は残念ながら形態を変え、通うのにも不都合を感じたので数年前に勝手に卒業させていただきましたが)。

もともと新冠の片田舎(いまだ路線バスも走っていない、これからも走らないであろう)で生まれ育ち、10才まで自然どっぷりの環境にいたものだから、大人になってもどこかで自然を求めていたのかもしれません。自然の中にいるとワクワクするんです。

それでも年に何度も行く場所では漫然と歩いてしまうことが多くなってきています。ただ、ボーっと森の中を歩いている、それではいけないと思うんですが・・・(いけなくもないか)。

そんな私を初心にかえしてくれるのは野幌森林公園のようです。といってもここ数年、年に1度くらいしか行けないのですが。野鳥の会に入る前は、野鳥の会が季節ごとに探鳥会をしていたこともあり、参加費を払いながらあるいは、成人学校で出会った友人たちとよくでかけたものでした。なんてことを思い出させてくれたのは、少し雨の降る日にある方と二人森林公園を歩くことになった日の事でした。そういえばなぜかタートル会で森林公園に行く日は天気がよくなかったななんて・・・。野鳥の会で探鳥会をしていたときはそんなことはなかったと思うんですが、タートル会で年間行事予定を立てて森林公園に行く日は雨降りか、もしくは5月にしては肌寒いかという感じの日が多いのです。「去年は早すぎて寒かったから」と予定を変えると雨が降ったりして・・・。なかなかうまくいかないものですね。

今年はみんなの願いが通じたのか、タートル会が森林公園に行った日は、雲ひとつない晴天でしたが(週間天気予報では少し前まで雨と出ており、またかと頭を抱えていたのでラッキーでした)。何が思い出させてくれるのかといえば空気としかいいようがないのですが、森林公園の中を歩いているだけでワクワクできるんです。事実、その日も森林公園の入り口付近をほんの小一時間歩いただけでした。それでも心の中に「うれしい!」という気持ちが湧いてくるんです。たとえば公園の中で名も知らぬ白い花を見ても、もう散って道ばたに落ちているコブシの花びらを見ても、新緑に輝く森を見ても・・・。もちろん春だけではありません。四季おりおりの出来事にワクワクしてしまいます。もう何年も前からいわれている森林浴、フィトンチッドの影響なのでしょうか、この高揚感は・・・。普段、バードウォッチングで森などを歩いている皆さんもこんなワクワクを感じているのでしょうか。

「初心にかえる」なんて少しまじめな言葉ですが、私にはワクワクする心、感動する心を忘れないということですね、きっと。これからもワクワクしながら森の中を歩きたいと思います。

支部報「カッコウ」2006年6月号より

野鳥受難

日本野鳥の会札幌支部 支部長 山田三夫

新しい年があけて2月、石狩にある発電風車でオジロワシが衝突死していたというニュースが飛び込んできた。やはりというか、起こるべくして起きてしまったなと感じた。札幌支部も毎年参加している「オオワシ・オジロワシ一斉調査」では近くの観察点でこれらのワシが観察されており、風車を建設する前に札幌支部を訪れた北海道グリーンファンド(建て主)にはその旨を伝えていた。今回の衝突事故以前にも、苫前で2件、根室で1件オジロワシが発電風車と衝突死しており、「環境にやさしい」はずの発電風車は、少なくても野鳥には巨大な凶器になっている事実にもっと眼をむけるべきだ。


そうこうしているうちに、今度は知床のオホーツク沿岸から油汚染で死んだとみられる海鳥の死骸が広範囲で発見された。サハリン東岸では石油天然ガス開発が進み、油流出事故が懸念されていたなかでの油汚染事故であったが、汚染源は後にC重油と特定された。その後もオホーツク支部などの踏査がつづけられ、なんと5千羽を越えるウミスズメ類ほかの死骸が回収された。97年に起きたナホトカ号の事故では、6千キロリットルの重油流出で千三百羽の海鳥が死んだことをかんがえると、今回の油汚染の規模がいかに大きいかがわかる。打ち上げられた死骸を食べたとみられるオオワシに二次被害がでているのも深刻だ。


現在まで今回の油汚染の原因は不明だという。しかしオホーツク海北西部起因の事故結果は海流、あるいは流氷とともに北海道に必ずやってくるのがわかった。昨年11月中国吉林省で化学工場が爆発しニトロベンゼンなど100トンが松花江に流出した。この川はアムール川第一の支流で、ご存知のようにアムール川はサハリンの北でオホーツク海に注いでいる。中国、ロシア当局は薄まるから問題なしとしているが、このような牧歌的な対処しかできない国を「風上・上流」に持つ私たちは、たまらない気持ちになる。


そしてスズメである。1月ごろから「スズメが少ない」という話が聞こえてきたし、事務局に多くの問合せもあった。しかし何十という死骸が見つかったと新聞で知り、うーんとなった。こうした事実を前にすると、常日ごろスズメを視野に入れていなかったことに気付く。4月13日現在、上川支庁の集計で760羽という数がでている。ウィルスや寄生虫は確認されず原因不明ということだ。餌台を置いている家庭で多くの異変が確認されているが、そのあたりに原因の手がかりがないだろうか。


スズメのケースはわからないが、これら野鳥の受難は人間の活動に起因しているのはまちがいない。人と野鳥の共存がいかに難しいことであるか、また私たちに何ができるのかをあらためて考えざるをえないのである。

支部報「カッコウ」2006年5月号より

普通種の魅力

酪農学園大学地域環境学科1年 貞國利夫

私の好きな鳥はサンコウチョウである。あの紫黒色と胸の白色、そしてあの自分の体の二倍三倍もある尾がとても綺麗でかっこいいと思う。しかし彼らは本州方面しか生息していないため、この北海道では見られない。ヤマゲラやシマフクロウなどこちらしか見られない鳥もいるが、サンコウチョウが見られないのはちょっと残念だ。

たまに、珍鳥のクサチヒメドリが出たとか、ホシムクドリがいるとかの情報がでる。日本人にとってはすごく珍しい鳥であり、鳥屋としてはぜひ見たいと思う。しかし、日本では珍鳥でもアメリカやアフリカでは普通種であり、イエスズメなどは良い例である。

では、日本の普通種はどうだろうか?スズメ、ハシブト・ハシボソガラス、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、キジバトなど、これらが代表的である。公園を歩いている時、小鳥が目の前を横切って何だ!?と急いで双眼鏡を当てて、見てみるとなんだスズメか・・・と、見るのを止めてしまい歩き去ってしまうことなどがよくあると思う。

以前、タカ類に襲われて落ちたと見られる無数の小さな羽を拾ったことがある。羽を見て、なんていろいろな色をしている羽なのだろうと思い調べたところ、なんとスズメであった。図鑑などで見ていて、羽の色などは理解していたつもりだった。ましてや、一生の中で一番見てきた鳥であろう。しかし、直にすぐ近くで羽を見てみると一枚の羽に白、黒、茶、更に薄い茶や濃い茶など何色もあった。
ハシブトガラスでも真っ黒と思われていた羽色は光が当たると、青や緑、紫などカラスってこんなに綺麗な色をしていていたのかと思わせてくれる。
キジバトの求愛行動など、初めて見たときは思わず笑ってしまった。一般的説明には、オスはメスにおじぎをするような動作をしながら「くーくっ、くーくっ・・・」と鳴いて求愛する、とある。図鑑で読み、どんな感じかと実際に見に行ってみた。その時の現場は、フェンスの上に三羽のキジバトがおり、そのうちの二羽がメス、一羽がオスだった。オスは片方のメスへおじぎ行為をし始める。しかし、あっさり逃げられ、失敗。そこでオスはもう一方のメスへおじぎ行為をする。もうこの時点で、おじぎではなくメスにつがいになってくれと土下座しているようにしか見えない。そして、また逃げられた。相当ショックだったのか、オスは五分間微動だにせずにその場に止まってしまっていた。そして、しばらくすると飛び去っていった。これだけでは本当にふられたのかどうかわからないが、このキジバトのオスには人間的なものをすごく感じ、面白かったのだ。

めったに見られないような珍鳥を見るのもとても面白いことだと思う。しかし、このように日ごろ身近におり、見慣れている種でもじっくり見てよく観察することによって面白く、魅力的であることがわかる。図鑑に書いてあったけど実際に見てみるともっとよくわかったり、自分の知らないどんな小さなことでも発見するととてもうれしく、更にその鳥について興味が出てきたりする。これらはとても良いことであると思う。そして、それを一番見つけやすいのがまわりにいる普通種なのである。だから、身近な鳥だといって素通りし、見なくてもいいと思っていても見ていない所もあるし、実は知らないこともたくさんあると思う。普通種にはこんな魅力があるのだ。

支部報「カッコウ」2006年4月号より